株式会社世界文化ホールディングス
2025.10.01
事業内容: ・雑誌・書籍出版関連事業、旅行事業、通販関連事業
なぜ、彼らはExcel管理をやめたのか? 月100件超の案件を抱える法務部がOLGAを選んだ理由
法務部
・執行役員 法務部長 大信田 甲毅 様
・部長代理 佐藤 竜一郎 様
株式会社世界文化ホールディングス大信田様、佐藤様にOLGAの導入背景や目的、導入後の変化について伺いました。
事例の概要とOLGA導入前後の変化


株式会社世界文化ホールディングスでは、手動対応の自動化や、ナレッジの蓄積・共有のために法務オートメーション「OLGA」を導入しました。繫忙期には月に100件を超える相談が寄せられるなか、2名という少人数体制で対応にあたっており、属人化や手動対応による作業負荷といった課題を抱えていましたが、いずれもOLGAの導入により解決することに成功しています。今回は、導入までの経緯や実際の活用方法についてお話を伺いました。
人々の信頼に応え、良質なコンテンツ・商品・サービスを創り出す
会社や事業の概要
当社は株式会社世界文化社を中心に、多角的な事業を展開する世界文化社グループの持株会社です。創業から間もなく80年を迎える当社グループは、長年にわたる出版事業で培ったノウハウとブランド力を活かし、時代と共に変化するメディア環境に対応しながら、多様なコンテンツとサービスを提供しています。
社内の“よろず相談所”としての法務部
法務部門の体制と業務内容について教えてください
大信田様:
当社の法務部は、現在2名体制です。元々は2人とももっと人数の多い「編集総務」的な部署に所属していたのですが、7年ほど前にその部署から独立し、特定の業務に特化した法務部が創設されたという経緯です。
担当業務としては、契約書のチェック・作成、著作権に関わる相談対応業務を中心に、景表法・薬機法などの広告表示規制、刊行物の差別表現などについての相談対応も付随する業務として行っています。
佐藤様:
特定の業務に特化とは言うものの、会社内での立ち位置としては”よろず相談所”のようなもので、何か困ったことがあったら法務部に話をあげてもらうようにしています。
大信田様:
契約書案件については私たち2人のなかで大まかに担当分野を分けていて、出版関連の契約は佐藤が、その他の契約は私がチェックするようにしています。
月間の案件数は約80件ほどになり、多い月では100件を超える相談を受けることもあります。

管理はできているものの、改善の余地は大いにあり
OLGA導入前の法務案件管理の状況と課題について教えてください
佐藤様:
導入前には、それぞれ自分の担当案件についてExcelで表を作って管理をしていました。Excelで管理をしていこう、とお互いに示し合わせたわけではないのですが、自然とそうなっていったように思います。
大信田様:
Excelでの管理においては、依頼元の部署や、誰の、何のための契約書なのか、といった内容を都度記録していたのですが、やはり手動での転記は大きな負担になっていました。
佐藤様:
特に契約書案件においては担当分野が分かれているので、基本は一人で進めます。案件によっては、私から大信田に意見を仰ぐことも少なからずあるのですが、その際は、見てもらいたい契約書をわざわざメールで送って確認してもらうという状況でしたので、そういった細かい手間も感じていました。

案件管理の“当たり前”を見直す、OLGAへの期待
OLGA(法務データ基盤)を知ったきっかけについて教えてください
佐藤様:
元々GVAさんのAI契約レビューを導入していて、法務データ基盤が開発されたタイミングでお声がけいただいた流れです。ご紹介いただいた際は、ようやくこういうサービスが出てきたか、という感想を持ったことを覚えています。案件管理については先ほどもお話しした手動管理の手間や、情報の属人化などについて課題感は持っていたのですが、実はこれらがリーガルテックのサービスによって解決されるイメージがあまり沸いていなかったんですよね。ですので、GVAさんがやってくれるんだ、と大きな期待を持ったことを覚えています。開発初期の画面を見せていただき、まさに求めていたそのものだと感じました。さらに特筆すべきは「事業部アカウントを作成せずに導入可能」という点で、これなら素早く全社展開ができてありがたい!と感動しました。
大信田様:
元々佐藤がナレッジを属人化させない仕組みづくりを検討していたのは知っていて、それができると聞いたので、私も大きな期待を持ちました。

OLGAの検討経緯について教えてください
佐藤様:
ご説明いただいたあと、トライアルで実際に操作をさせてもらったのですが、操作してみて改めて、よく考えられているなと思いました。先ほど、案件管理がどのような形で解決されるのかイメージが沸かなかったとお話ししましたが、自分でOLGAを動かしてみて、このような管理の仕方があるのかと驚きました。一番のお気に入りはファイルのバージョン管理です。前々から望んでいたことではあるのですが、OLGAを入れる前は、案件ごとのフォルダを作って、名前を逐一変えて、古いファイルは別のフォルダに移動して…とかなり手間がかかっていました。これらの手作業を一切なくすことができ、さらに案件のなかで複数の契約書をそれぞれバージョン管理できるため、これを使わない手はないなと思いました。

▲案件の管理ページ。画面中央のプレビューゾーンで複数の契約書のバージョン管理が可能
大信田様:
すぐにでも導入したいところではあったのですが、一方で予算の問題もありました。どうしようか悩んでいたところ、機能を抑えた形で部分導入を提案いただけたので、ありがたくその内容で導入させていただきました。
佐藤様:
その後GVAさんのサポートもあり、法務担当の我々がOLGAの操作にも慣れたところで、今春からは依頼者ともやりとりできる形で利用できるようになりましたので、さらに活用していきたいと考えています。
大信田様:
案件依頼方法の変更に際して、事業部からの抵抗はまったくありませんでした。この点は良い意味で裏切られた形です。元々はメールで相談を受け付けていましたから、依頼フォームを新たに導入すると、面倒だといった反応があるのではないかと想像していたのですが、問題なく受け入れてもらっている状況です。中には従来通りメールを送ってくる人もいるのですが、依頼フォームが嫌だというわけではなく、うっかり今まで通り依頼をしてしまったというものなので、その際はこちらでOLGAに案件内容を登録し、OLGAのチャットから連絡をすればその後はOLGAでのやりとりができています。
佐藤様:
この点はUIの良さが関係しているように思います。申請する側の画面はできるだけシンプルに設計しました。何を法務に対して伝えればいいのか、わかりやすく誘導されるのでかえって依頼がしやすくなっていると思います。その後も通知メールに対して返信する、というのは従来のメールでの体験から変わらないため、抵抗なく受け入れてもらえた要因の一つなのではないかと思います。
大信田様:
依頼者からポジティブな評価の声が上がっている訳ではないのですが、不満の声も上がっていません。問題なく移行できたという事実がOLGAの使いやすさを物語っているのではないでしょうか。佐藤がマニュアルを作って社内展開をしたのですが、結果、それだけで運用できています。
佐藤様:
実はマニュアルもちゃんと読んでいる人は少ないのではと思っています。それでも運用に支障がないのは、システムが優れている証拠なのだと思いますね。

▲依頼フォーム。各社専用の内容にカスタマイズが可能。
法務の現場に溶け込むOLGAの細かな機能群が大きな変化をもたらす
OLGA導入後の効果
佐藤様:
とても業務がしやすくなっています。今ではOLGAなしの業務は考えられないですね。具体的には、まず見落としが減ったことが挙げられます。以前はメールで相談を受け付けており、受けたら逐一Excelの管理表に転記していましたが、忙しいときはどうしても埋もれてしまうメールもありました。メールボックスの中で手動でタグ付けをして管理もしていたのですが、やはり工数がかかることによる負担感も課題でした。この点、OLGAで受付をすると受け手の作業なく案件が登録されるので、認識できていない案件も新着ボードを見れば必ず確認できるようになりました。
大信田様:
メールで契約書案件の相談を受けると、メールの文面を読んで管理表に記入、契約書はダウンロードして所定の場所へ格納と、手作業が多いため、この時間がなくなったのは非常に助かります。
法務部2名ともにメール通知が届いて、新着案件を確認できるように設定しているため、例えば自分に少し余裕がある時は、相手の案件を巻き取る動きもしやすくなりました。これはお互いが抱えている案件が可視化されたメリットです。担当が明確に分かれていない内容の相談でも、「〇番の案件をお願いします」もしくは「〇番の案件は私がやります」と、共通の画面があることでコミュニケーションがしやすくなりました。そもそも1対1でのメールの場合はお互いに届く依頼内容に気づくこともできなかったので、この点は大きな進歩だと感じています。
佐藤様:
ナレッジの共有についても大きな効果を感じます。今までは大信田のナレッジは大信田が対応している案件にまつわるメールを覗きにいき、契約書であればダウンロードして開いて、という流れが必要でしたが、今は知りたい情報があれば検索をかけられるので、お互いの知識の共有が非常に楽になりました。今後後任ができた際も、とりあえずOLGAを見れば大方の情報は残っていますので、将来参画する方に感謝してもらいたいと思います(笑)

AI契約レビューとの連携による相乗効果も
OLGAで気に入っている機能
佐藤様:
細かい部分ですが、「所属」リストの引き継ぎの仕様がよく考えられていると思いました。社内で組織の改編があった場合に、過去の部署名は削除せずにデータとして残るものの、現在の部署名のみ表示とすることが可能な点、分析結果でマージされて表示される点など、痒い所に手が届くなあと感じます。
大信田様:
元々はAI契約レビューの機能になるのですが、新旧文書比較は常に使わせていただいています。法務データ基盤を使うようになってからは、ワンボタンで前後比較ができるなど、さらに使い勝手が良くなりました。以前は、一度紙に印刷してから見比べていたので、かなり手間のかかる業務でした。法務の現場では、例えば1年前の契約書と手元の契約書を見比べるといった業務も多々発生しますので、本当にありがたいです。

▲新旧文書比較。案件の管理ページからワンクリックで前バージョンとの比較が可能。
佐藤様:
新旧文書比較は私も重宝しています。私は電子契約の業務も担当しているのですが、相手先から送られてきた電子契約の書面と、最終ドラフトバージョンとの比較をすることがよくあり、案件画面を開いて、画面に表示された最終バージョンと送られてきた書面とをすぐに比較できるので、利用シーンは多いですね。
他には、後からCCに入れた依頼者サイドの方々もこれまでの経緯を確認できるのが役に立っています。当時の担当者から案件の担当者が変わっていても、CCに入れて以前のやりとりの地続きで会話を始めれば、当時の会話がすべて残っているので、一から当時の状況や流れを説明する手間が省けます。
OLGAに対する今後の期待
佐藤様:
昨今、リーガルテック業界ではGVAさん以外の他社でも様々な機能を開発しているのを目にします。GVAさんもこれまで多くの機能をリリースされていると思いますが、他社の開発に負けずに、さらに良いものを提供いただけると助かります。今は生成AIが話題になることが多いですが、生成AIを使ったOLGAならではの機能も期待したいところです。
大信田様:
OLGAを導入した現在でも、以前とは大きく変わりましたが、人間がやらなくてもよいことがさらにシステムでできるようになっていくとありがたいですね。契約書のチェックにしても、今はアラートやナレッジが表示されて、その先の判断や修正作業は人の手で行います。例えば修正文案の提案など、そういったところまで踏み込んでいただけると、もっと劇的に業務が変わるのではないでしょうか。