OLGAの導入事例
探す時間が20分の1に。阪急阪神不動産が実現した案件情報を「資産」に変えた方法
阪急阪神不動産株式会社
事業内容
- 総合不動産事業
従業員規模
1,000名~
お話を伺った方
明田 知也様
土師 真季様
児玉 涼平様
「資産となる情報は確かにあるのに、探し出せない」。
阪急阪神不動産株式会社の法務部門が抱えていたのは、業務量の増加そのものよりも、蓄積されたナレッジを活かしきれないという構造的な課題でした。
OLGA導入を通じて、同社がどのように過去情報を資産へと変えていったのか。その取り組みについて伺います。

総合不動産会社として、多角的な事業を展開
──まずは、御社の事業概要について簡単にお聞かせください。
明田様:
当社は、いわゆる総合不動産会社として、多角的に事業を展開しております。
商業施設やオフィスビルの保有・運営による「賃貸事業」、マンションブランド「ジオ」や戸建住宅ブランド「ジオガーデン」の展開や、不動産仲介やリフォームといった事業を担う「住宅事業」、賃貸用アセットの創出や短期回収型の開発事業を担う「開発事業」、近年急速に取組を拡大している海外における住宅分譲・開発事業を担う「海外事業」の大きく4つの事業を展開しており、一般的に総合不動産会社が担う主な事業領域は一通り手がけている会社だとご理解いただければと思います。
──続いて、法務体制についてお伺いします。人数構成や、具体的な業務内容を教えていただけますでしょうか。
明田様:
当社の法務は、総務部内に法務グループという形で設置されています。兼務者もおりますが、正味人数で課長が2名、課長補佐が3名、担当者が3名という構成で、合計8名の体制です。
業務内容としては、大きく分けると三つの領域があります。
一つ目が、法務業務の中核である法律相談や契約審査です。事業部からの相談対応や、契約書のレビューがここに該当します。法律相談と契約審査を合わせて月間110〜120件ほど対応しており、近年増加傾向が著しい状況です。
二つ目が、機関運営や、意思決定システム、社内規程に関わる業務です。具体的には、取締役会の事務局や、稟議システムの運用、社内規程の整備などが含まれます。
三つ目がコンプライアンス領域です。法令改正への対応や、社内向けのコンプライアンス研修の実施などを担当しています。
業務の割合感で言うと、契約審査や法律相談が全体の約7割、取締役会や意思決定関連が2割、コンプライアンス対応が1割といったイメージです。
──特に多い相談内容や契約類型はありますか。
土師様:
事業特性上頻度が高い領域は商業施設やオフィスに関する賃貸借契約です。単純な契約確認にとどまらず、少し踏み込んだ法的な論点を含む相談が寄せられることも少なくありません。
また、住宅分譲事業における、売買契約書や重要事項説明書の確認も多くあります。
最近は事業が活発なこともあり、用地の仕入れに関する契約も件数としてはかなり多く、「このスキームを法務的に取ることができるのか」といった相談も毎月一定数発生していますね。
データはあるのに探せない。ナレッジが活かせない従来フローの限界
──OLGA導入以前はどのような案件受付フローだったのでしょうか。
明田様:
従来は、グループウェアを使っており、法務への依頼受付や依頼部署とのやり取りは、すべてそのシステムのメッセージ機能で行っておりました。
依頼が届くと、まず受付担当者が「4営業日以内に回答します」という趣旨の定型文を返信します。
その後、法務メンバーだけがアクセスできるグループウェア上のスペースに案件ごとのToDoを立ち上げて4営業日の期限を設定し、依頼メッセージのURLを貼り付けます。
加えて、受付案件について、「どの部署から、いつ、どのような相談内容か」といった情報やToDoのURLをExcelの管理台帳に手入力で登録します。
──かなり工夫されている印象ですが、当時はどのような課題があったのでしょうか。
明田様:
限られたリソースの中で、できるだけ効率化しようと工夫はしていました。クリック数や入力項目を必要最低限まで減らすなど、できる限りの最適化はしていたと思います。
ただ、案件ToDoと管理台帳での二重の入力作業は、担当者にとって余計な業務負荷がかかっていたと思いますし、人間がやることなので、受付漏れはどうしても年に数件は発生してしまっていました。
また法務の業務が「データベース化」されていないという大きな課題がありました。
先ほどお伝えした法務担当者間のグループウェア上のやりとりでは、一次チェック者と二次チェック者の間で、非常に有益な議論が行われていました。参考資料を添付したり、考え方を整理したりと、重要なナレッジが日々大量に蓄積されていっている状況でした。
しかし、グループウェアの法務内のやりとりに使っていた機能は、容易に検索ができる仕様になっておらず、ナレッジとなる法務内での議論内容や、回答の根拠となる調査結果を後日検索で探し出すことは非常に難しい状況でした。
「有用な情報は確かに存在するのに、たどり着けない」というのは非常にもどかしかったですね。時間も無駄になりますし、改善したいという思いは強くありました。
依頼者アカウントで双方が過去情報を前提にしたコミュニケーションが可能に
──OLGAを知っていただいたきっかけをお伺いしてもよろしいでしょうか。
明田様:
「法務のやり取りがデータベース化されていないのは、将来的にまずい」という課題意識は持っていたものの、今すぐ何かを入れ替えようと本腰を入れて検討していたわけではありませんでした。
ただ、御社の営業の方よりお声がけいただいたので「一度話を聞いてみようか」という軽い気持ちで面談をしました。
話をお聞きしたところ、Teamsを始めとしたコミュニケーションツールとの連携や、法務の担当者に寄り添ったユーザーインターフェースなど、思っていた以上に良さそうだと感じ、かなり綿密にトライアルをさせてもらった上で導入を決めました。
──トライアルの際には、どのようなポイントを重視しましたか。
児玉様:
依頼者側からの目線は、かなり意識していました。
OLGAを導入しても、依頼者とのコミュニケーションがスムーズにいかなければ、法務側・依頼者側の双方にストレスがかかってしまいます。
法務内で依頼者アカウントを設定して、法務メンバーが「依頼者役」になって操作する、という形で検証し、通知や返信の導線に違和感はないかといった点を重点的に確認しました。
最終的に、依頼者側が過去の案件情報や履歴を参照できる状態でコミュニケーションを取る重要性が高いと考え、依頼者側にもアカウント付与することにしました。

三段階での全社展開により、1000名規模のOLGA導入を混乱なく実現
──事業部への展開は、どのように進められたのでしょうか。
土師様:
当社には事業本部が4つありますが、それを三段階に分けて展開しました。
まず4月に、開発事業本部を対象に、いわばお試し的に約200名からスタートしました。
最初のフェーズということもあり、こちらとしても事業部側の反応を確かめたかったので、それぞれの部門の定例会議に参加し、直接説明を行いました。
次に7月に、賃貸、海外事業、スタッフ部門(経営企画など)を追加。
最後に10月に住宅事業本部を加え、全社展開が完了しています。
7月・10月の導入フェーズでは、ウェブセミナー形式に切り替えました。
事前に資料を配布し、「この日に説明会を実施します。参加できない方は録画もご覧いただけます。」という形で実施しました。
──段階的にOLGA導入を進める中で、依頼者側の反応はいかがでしたか。
土師様:
全体として、否定的な反応はほとんどありませんでした。
当社はもともとDX推進に前向きなカルチャーがあるので、自然に受け入れてもらえた印象です。
「依頼の仕方が分からない」「操作が難しい」といった質問は、ほとんどありませんでした。実際には、使いこなそうとする方と、最低限の使い方で十分という方に分かれますが、案件のやり取りを進める中で自然と使い方を覚えていかれる方が多かったですね。
一方で、「誰がどこまで閲覧できるのか」という部分は皆気にしており、どう制御できるのかは丁寧に説明する必要がありました。
──導入後の業務フローは、どのように変わりましたか。
明田様:
依頼は専用フォームから受け付け、期限も原則として「4営業日以降」しか選べないように法務側で設定しています。これにより、依頼を受けた時点で対応期限が明確になり、期日管理が非常にやりやすくなりました。
その後の業務フローそのものは、導入前と大きく変わっているわけではありません。ただ、情報が自然に集まり、流れる場所がOLGAに一本化された感覚ですね。
20分かかっていた案件検索が1分に。台帳作成工数はほぼゼロへ
──OLGA導入後の効果について教えて頂けますか。
明田様:
当初のデータベース化の課題は、「今すごく困っている」というよりも、長年のノウハウを持っているメンバーが異動で離脱するなど「このままいくと将来必ず困るよね」という性質のものでした。
その意味では、「将来、顕在化するであろう課題について、先に手を打った」という感覚が一番近いですね。
実際に運用を始めて半年ほど経過しましたが、過去案件を検索する機会は明確に増えてきました。
──過去の法務担当者間でのやり取りを探すのに時間がかかっていたとのことですが、その点はいかがでしょうか。
土師様:
探す時間は、体感で言うと半分以下になっています。
以前はグループウェアでのやりとりを遡り、必要な情報を探す作業だけで20分かかることもありました。それが今は、1〜2分で見つかることがほとんどです。
定量的に「月間何分短縮できました」とは言いづらいのですが、少なくともストレスは大幅に減りましたし、業務のテンポは明確に改善しています。
──台帳作成の工数についてはいかがでしょうか。
明田様:
台帳作成の工数は、ほぼゼロになったと言っていいと思います。
導入時の初期設定や移行に手間はかかりますが、一度仕組みを作ってしまえば、日々の業務で台帳を作成する作業は発生しません。
時間が経てば経つほど、メリットの方が確実に大きくなる仕組みだと感じています。
OLGA内でのWord編集に文書比較。ユーザー視点の機能で業務を効率化
──導入前は想定していなかったけれど、「これは良かった」と感じる点はありますか。
明田様:
一つ目は、OLGA内でWordを編集できる点です。
OLGAにアップロードしたWordファイルを、そのまま編集して更新できるので、非常に便利に使っています。この機能はかなり重宝していますね。
また、継続的に機能改善をしていただいている点も印象的です。
「また画面が少し変わっているな」と気づくことが多く、変化の方向性も「良くなった」と感じるものばかりなので、安心して使い続けられています。細かい改善も多く、ユーザーをよく見ているなと感じます。
土師様:
文書比較機能も変更点が非常に見やすく、よく使っています。
▲新旧文書比較機能。変更があった箇所を一目で把握することができる
期日管理も分かりやすいですね。「今日、自分が何をやらなければならないのか」が明確に可視化される点は、とてもありがたいです。
▲案件一覧ボード。新着、担当案件、チームの案件など、案件の対応状況を一覧化
児玉様:
検索性の高さは、本当に気に入っています。
私の場合、過去案件を探すだけでなく、自分用に案件を作って、弁護士事務所のニュースレターや、覚えておきたい参考情報を投げ込む「箱」としても使っています。
「あ、そういえばあの情報を見たいな」と思ったときに検索すると、きちんと引っかかってくれる。参考情報も含めて探しやすくなったのは、大きな変化です。
それから、検索窓の設置ページが多い点は、とても良い設計だと思っています。
どの画面に遷移しても検索できるので、自然と検索を使う回数が増えました。
──今後のOLGAに期待していることを教えてください。
明田様:
一番大きな期待は、やはりAI活用の進展ですね。
データを蓄積する目的は、検索性を高めることだけではないと思っています。究極的にはこれまで蓄積してきたやり取りや判断の履歴をもとに、AIが提案してくれるレベルまで進化していくことを期待しています。
──最後に、これからOLGAの導入を検討されている他社の方へ、メッセージをお願いします。
明田様:
OLGAの一番の魅力は「ナレッジ化」だと思います。
法務相談における検討の過程、調査した根拠、回答に至るまでの思考プロセス。これらすべてが、本来は非常に価値のあるナレッジであると考えています。
ただ、日々の業務に追われる中で、それをきちんと残し、活用することに課題を感じておられる法務部門は多いのではないでしょうか。
「情報はあるのに、探せない」「同じ検討を何度も繰り返している」──そうした課題を感じている方には、間違いなくフィットするツールだと思います。