OLGAの導入事例
案件情報を一元化し、月間約4,650分の時間削減を実現!
株式会社マキタ
事業内容
- 電動工具の製造、販売 など
従業員規模
1,000名~
部署名
総務部法務課
課長 保山 里実 様
塚原 慧 様
株式会社マキタは、電動工具から園芸用機器、エア工具などのメーカーとして幅広く事業を展開し、年間約650件もの法務相談に対応しています。しかし、法務課では案件情報をExcelや共有フォルダで管理しており、過去情報の整理や検索に大きな課題を抱えていました。
今回は、非効率な状況を打破するために「OLGA」を導入するに至った背景や、導入後に実現した改善効果について詳しく伺います。


会社や事業の概要を教えてください
保山様:
弊社は1915年創業で、電動工具、園芸用機器、エア工具などを手掛けるメーカーです。もともと電動工具で知られていますが、培ってきたバッテリーやモーターの技術を活かして、最近は充電式の草刈り機や生垣バリカンといった園芸用機器、クリーナーやラジオ、さらには充電式のコーヒーメーカーなど、現場で役立つ快適用品も幅広く提供しています。プロの皆さんがお仕事で使う製品が多いので、万が一故障した際も、全国120以上の営業所で迅速に修理などのアフターサービスを提供できるのが当社の強みです。2025年3月期の単独売上収益は4,349億円、従業員は約3,400名となっています。
法務の体制と具体的な業務内容について教えてください
保山様:
法務課は現在5名体制です。主な業務内容は、契約書審査、法律相談対応、コンプライアンス業務に加え、個人情報保護や安全保障貿易管理の統括も担当しています。年間で約650件の相談依頼があります。当社の事業は開発から製造、販売まで全て自社内で完結しているので、扱う契約書のジャンルが非常に幅広いのが特徴です。また、法改正に合わせた社内体制の整備や、関連部署への教育も実施しています。昨年は下請法の改正がありましたので、各部署向けに下請法に関する研修を頻繁に行っていました。
塚原様:
これまで電動工具が中心だった事業をバッテリー技術を核とした充電機器全般へと拡大しようとしているため、最近は扱ったことのない新しい分野の製品に関する法令調査が増えてきています。特に、当社にノウハウがない製品の開発を進めるにあたって共同開発契約や、他社の技術を活用するOEM契約が増加傾向にあります。
また、弊社の特徴として、法務課の社員を新卒で採用している点が珍しいかもしれません。新入社員は、先輩社員のサポートを受けながら、早い段階から一人で契約書審査を担当したり、事業部との打ち合わせに参加する機会が多く、成長できる環境です。
OLGAを導入する前に抱えていた課題についてお聞かせください
保山様:
OLGAを導入する前は、案件管理にとても苦労していました。具体的には、Excelに手作業で案件情報を入力して管理し、メールも一件一件、共有フォルダに振り分けて格納していたんです。これがとても手間でした。
特にメールの振り分けと格納には非常に時間がかかっていました。ひどい時には数週間分のメールを溜め込んでしまい、それぞれのメールのタスク番号を調べてフォルダに移動させる作業だけで半日を費やすこともありました。しかも、メールはチェーンになっていることが多いので、重複を避けるために、どれを保存してどれを捨てるかといった判断に時間を使ってしまっていました。年間で約650件の相談依頼がある中で、通し番号を振ってフォルダを作成していくので年度の後半になると、目的のフォルダにたどり着くのが大変でした。
さらに困ったのは、業務が立て込んでくると、案件情報の入力が滞りがちになり、せっかくの記録が途絶えてしまうことが多々あったんです。そうなると、情報が最新化されず、例えば「1ヶ月前に受け付けたはずの案件が、Excel上ではまだ受付のままで止まっている」なんてことも多々起こっていました。もちろん実際には案件は進んでいるんですけど、記録がないので誰も全体像を把握できないという状態です。
また、メールでの依頼は部署の代表アドレスに来ることが多かったものの、事業部の担当者と法務の特定のメンバー間でやり取りが始まるとなじみの担当者宛てに個人アドレスで依頼が届くようになっていました。そうなると、誰が今どのような案件を抱えているのか、部全体で把握することがより難しくなってしまっていました。他のメンバーの案件状況を探そうと思っても、情報に辿り着けないという問題が起こっていました。
塚原様:
まさに、特定の担当者に知識が集中してしまうという課題を強く感じていました。なるべく手作業をなくして、みんなで知識を共有できる場を作りたいとずっと思っていました。

ツール選定の進め方や、他社サービスと比較してOLGAに決定した要因を教えてください
保山様:
実は、当初から「案件管理を効率化しよう」という明確な目的があったわけではなかったんです。それよりも、リーガルテック全般に興味があって、何か良いツールがないかなと情報収集をしていました。案件管理に特化したサービスだけでなく、契約書締結までの全工程を管理できるような広範なサービスも検討していましたね。ただ、実際に話を聞いてみると、そういったサービスは依頼部署側の負担が大きいと感じたため、当社の運用状況には合わず、一度は導入を断念していたんです。
そんな中で、改めて「何か良いツールはないか」と探している時にOLGAを知りました。OLGAのトライアルを始めた段階で、「案件管理」という機能が、他の切り口のリーガルテックと比較して、削減できる業務時間が一番大きそうだという印象を持ちました。さらに、他社の案件管理サービスとも比較検討を進める中で、依頼部署への負担が最も少ないという点が決定打となり、OLGAの導入を決めました。
導入にあたっては、社内稟議で費用対効果を具体的な数値で示す必要がありました。そのため、法務課のメンバー全員でストップウォッチを持ち、これまで手作業で行っていた案件管理にかかる時間を実際に計測したんです。このデータが、導入の説得材料として非常に役立ちました。
事業部への展開はどのように進められましたか?また事業部(依頼者側)からの反応もお聞かせください
保山様:
導入後は、社内ポータルで全社向けにOLGAの利用開始を告知しました。特に依頼が多い部署には個別にメールで案内を送りました。依頼方法については、簡単に依頼用メールアドレスと依頼フォームのURLといった依頼先を記載した「簡易版」と、もう少し詳細な操作方法が分かる「マニュアル」の2種類を作成して周知しました。依頼しやすい方法を選択できるようメールとフォームのどちらからでも依頼できるよう整備しましたね。
事業部からは、いくつか質問はありましたが、操作方法に関するものはほとんどありませんでしたね。具体的には、「法務が受けている案件は多岐にわたるけれど、契約書以外の案件(例えば、登記簿謄本の保管依頼のような簡単なもの)もOLGAを使って依頼して良いのか?」という質問が来ました。これに対しては、「迷ったらOLGAで依頼してください」と案内しています。
導入前は正直、1回もフォームが使われないのではないかと懸念していたのですが、開始してみると、意外にも約3割がフォームから依頼が来ており、想定以上に活用されているという印象です。これは嬉しい誤算でしたね。
導入して抱えていた課題はどの程度解決または改善されましたか
保山様:
OLGAの導入によって、以前から抱えていた課題は劇的に改善されたと感じています。特にその効果を実感したのが、当社の法務部で一時的に人員が減った時期です。産休や退職でメンバーが減り、通常7名体制のところが4名で業務を回さなければならない状況になったことがありました。ちょうどその時期が、株主総会の招集通知の作成という季節限定の業務と日常業務が重なる忙しい時期で、業務もかなりタイトでした。
もしOLGAがなかったら、おそらくもっと残業時間が大幅に増えていたでしょうし、以前の運用を続けていたらその期間の案件管理の記録は間違いなく白紙になっていたと思います。しかし、OLGAを導入していたおかげで、多忙な時期にもかかわらず、すべての業務記録を自動的に、そして確実に残すことができました。
人員が少ない状況でも業務の抜け漏れを防ぎ、効率的に業務を遂行できるようになり、法務部の生産性向上に大きく貢献してくれています。ストップウォッチを持って計測した手作業で行っていた案件管理にかかる時間と比較して算出すると、月間約4,650分の時間削減効果があるという結果が出ています。メールでのやり取りもチャット形式で案件に紐付いて残っていくなど、情報の蓄積が確実に行われ、ナレッジの共有もスムーズになったと感じています。
導入して想定外のメリットや効果を感じている点はありますか
保山様:
OLGAでは案件情報として取引先の企業名を登録する際、法人番号のデータベースと紐づいていて、プルダウンで選択することができるのですが、これにより企業名の表記揺れがなくなったことは想定外の大きなメリットでした。
表記揺れがなくなったことで、企業名を入力すると過去にその企業と契約を結んでいるかが一目で確認できるようになり、便利だと感じています。以前は同じ企業でも表記が異なると別の企業として扱ってしまったり、過去の取引履歴を探すのに苦労したりしていたので、大きな改善点ですね。
塚原様:
OLGAの各案件画面で契約書をプレビュー表示できるのが非常に役立っています。上司に契約書の承認を得たい際など、チャットでやりとりを見せながらプレビュー画面を見せて説明できるので、別途資料を準備したり、いちいちファイルを共有したりする手間が省け、情報共有が非常にしやすくなりました。

OLGAで気に入っている機能について、理由とともに教えてください
保山様:
タスクを割り振る側としては、新着タスクの未配定状態がすぐに分かる機能が非常に助かっています。以前はメールで案件を受けていると、誰かに割り振ろうと思って残しておいたタスクが他のメールに埋もれてしまったり、誰に割り振ったか、タスク表にきちんと記録したかを忘れてしまいそうになったりすることがありました。OLGAではそういった心配がなく、未配のタスクが一目でわかるので安心感があります。
それから、トップ画面で担当者が現在抱えているタスクが一覧で分かる点も気に入っています。Excelで管理していた頃は、完了済みのタスクと進行中のタスクが全て同じページに混在していて、いちいちソートしなければ誰が何をしているのか把握できませんでした。Excelの管理だと、件数が多くなってくるとファイルを開くのが重く、ステータスを変えたいタスクを探すのも大変で、タイムリーなステータス管理や確認が億劫になる原因にもなっていました。OLGAではそれがすぐにわかるので、とても便利です。
さらに、バージョン管理がきちんとできる点も良いと感じています。以前は担当者によってファイルのタイトル付けがバラバラで、どのファイルが最終版なのか分かりにくいことが頻繁にありました。例えば「バージョン3を作ったけれど、結局ボツになった」といった場合も、ファイル名だけでは判断が難しかったです。しかし、OLGAではバージョンがきちんと管理されるため、過去の案件を参考にしたい時などに、どのファイルが最終版で、どのような経緯を辿ったのかが明確に分かり、非常に役立っています。
塚原様:
案件が一覧表示されて、期限がパッと出てくるので、いつまでに対応が必要かすぐに分かる点が気に入っています。あとは、まだあまり使っていない機能なんですが、タスクが枝分かれする際にサブ案件機能で「枝番」がつけられるので、これはこれからどんどん活用していきたいと期待しています。
今後OLGAに期待していること
保山様:
現状でもかなり完成度が高いと感じています。ですので、機能面というよりも、OLGAに蓄積されたデータを活用した分析機能には大きな期待を寄せています。導入からまだ1年が経っていないので、具体的にどう活用していくべきか模索中ではあるのですが、データが十分に溜まってきた中で、より高度な分析機能ができることを期待しています。また、AI法務アシスタントのQ&Aデータベース機能もまだ十分に使いこなせていないですが、データが溜まってきたら活用できるようにしたいと思っています。
他の会社の法務の方へのメッセージ
保山様:
OLGAは、他部署の運用をほとんど変えることなく導入できるのが大きな魅力だと感じています。それでいて、導入後の効果は非常に大きいツールなので、現場部門の意向に可能な限り合わせる方針の組織でも導入しやすいのではないでしょうか。アカウントを付与する必要がなく、依頼者側には依頼先となるメールやフォームを案内するだけで利用を開始できるという点は、導入のハードルを大きく下げるポイントになると思います。