OLGAの導入事例
ナレッジ分散を解消し法務案件を一元管理!象印マホービンのOLGA活用術
象印マホービン株式会社
事業内容
- 調理家電製品の製造・販売 など
従業員規模
1,000名~
部署名
法務知財部
マネージャー 向井 和宏 様
サブマネージャー 髙橋 将志 様
光畑 茜 様
炊飯ジャーやマホービンをはじめとする生活家電の製造・販売で知られる象印マホービン株式会社。多角的な事業展開を進める同社は、法務部門の課題であったナレッジの分散と非効率な案件管理を解決するため、法務オートメーション「OLGA」を導入しました。
導入により、課題であった法務案件に関する検討経緯の蓄積と案件の見える化を実現し、「OLGA上で完結する」シームレスな業務体制を確立しました。法務部門の業務効率化と品質向上を両立させた、同社の「OLGA」導入事例をご紹介します。


100年企業が進める“生活に寄り添う”多角事業
──会社や事業の概要を教えてください
髙橋様:
弊社は、炊飯ジャー、電気ポットなどの多種多様な調理家電製品をはじめ、ガラスマホービンやステンレスボトルを中心としたリビング製品、空気清浄機や加湿器などの生活家電製品の製造と販売を行っています。
また、最高級品の炊飯ジャー「炎舞炊き」で炊き上げるご飯を提供する「象印食堂」や、高齢者の安否を見守る「みまもりほっとライン」サービスなど、製品以外にもさまざまな事業を展開しています。
「象印食堂」は現在、大阪と東京に店舗を構えており、「おいしいごはんが、ここにある。」をコンセプトに多くのお客様に炊飯ジャー「炎舞炊き」の真価を体験していただいています。「みまもりほっとライン」サービスは当社の電気ポットの使用状況から生活状況を把握し、メールで通知することで、遠方のご家族などに安心をお届けしています。電気ポットという日常的に使う製品の特性を活かしたもので、20年以上の実績がある、非常に歴史の長いサービスです。
──法務の体制と具体的な業務内容について教えてください
髙橋様:
法務知財部は、法務担当3名と知的財産担当6名、部長1名の総勢10名で構成されています。法務担当は本社に、知的財産担当は弊社の工場に席を構えています。法務担当の主な業務は、契約の審査と法務相談、コンプライアンスの推進、規程の管理などです。
情報分散を招いていた従来の法務体制
──OLGAを導入する前に抱えていた課題についてお聞かせください
髙橋様:
OLGAを導入する以前は、全社共通のワークフローツールで法務への依頼の受付を行っていました。このツールは複数の部署で利用でき、経理部への回覧も可能でしたが、管理できるのはあくまで「依頼の受付」と「最終回答」という形式的なステップのみでした。
そのため、依頼者へのヒアリングや法務知財部内での検討といった実際の業務プロセスは、メール等で個別にやり取りされていました。メールでの情報共有は、担当者全員をCCに含める運用でしたが、抜け漏れなく追加する手間がかかり、共有の確実性に課題がありました。
特に、契約書の修正過程のような重要な検討経緯は契約書内のコメントでやり取りしていることが多く、過去の内容を確認するには、メールを検索し添付ファイルを確認するという煩雑な作業が必要でした。重要な検討過程の情報をワークフローに蓄積できないことで、ナレッジが分散し、業務の非効率性を生む大きな要因となっていました。
メールでの過去案件の検索は検索性が低く、なかなかヒットしなかったり、探し出すのに膨大な時間を要します。この「検索に要する時間」は、担当者数が増えるほど累積し、業務上の大きな負担になっていると感じていました。
さらに、契約審査以外の法務相談については、メール、チャット、電話など多岐にわたる方法で受け付けていたため、その管理が一元化できていないという課題もありました。これにより、対応メンバー以外は経緯を把握できず、業務が属人化してしまうリスクを抱えていました。
当時、対応件数は契約審査が月25件前後、法務相談が月数件程度ありました。これらの課題を解決し、ナレッジを一元的に蓄積することで、法務回答の品質向上、スピードアップ、そして属人化の防止を実現したいと考えていました。
──OLGAの導入はどのように進められましたか
髙橋様:
法務業務のナレッジ化と一元管理を推進したいと考え、情報収集のためにインターネットで検索していた際、OLGAの存在を知りました。当時、私たちが直面していた課題の解決に役立ちそうだと感じたため、すぐに問い合わせを行ったのがきっかけです。
その後、他社サービスとの比較検討も並行して進め、ナレッジ化に必要な「案件管理」の機能を持つ2つのサービスに絞り込み、トライアルを実施しました。検討の際は、部内で話し合い、「どのような仕組みを導入すべきか」という具体的な要望をリストアップしました。それらの要望を実現できる機能が各サービスに搭載されているかを細かく確認しました。
最終的にOLGAを選んだ最大の決め手は、大きく分けて2つあります。1つ目は、依頼者にアカウントを発行しなくても、ナレッジを一元管理できるという仕組みです。管理面でも、費用面でも、負担が少なく運用できる点は重要なポイントでした。そしてもう1つは、法務部内での検討過程や議論の記録を、依頼者には一切公開せず、部内だけで確実に蓄積できるという点です。さらに、外部の弁護士とのやり取りまで案件に紐づけて残せる機能もあり、トライアルを通じて、「自分たちが目指す理想のナレッジ化を実現できる」と実感できました。
また、他部署との連携がスムーズに行えるかという点も、すごく重要な選定ポイントでした。OLGA導入前のワークフローツールでは、契約審査の途中で経理部に確認を依頼するというフローがありました。新しいシステムを導入する場合でも、この業務フローは維持できることが大前提でしたし、何より経理部にとって業務負担が増えることは絶対に避けたいと思っていました。ですから、業務量が現状維持、あるいは削減されるということを特に重視して検討を進めました。
結果として、OLGAのチーム機能を活用することで、従来の業務フローをそのまま維持することができました。経理部内での検討過程までOLGA内のチャットに記録として残せるという付加的なメリットもあり、チーム機能のおかげで、経理部からの理解もスムーズに得られ、全社的な導入を円滑に進めることができたと感じています。
──事業部への展開はどのように進められましたか
髙橋様:
展開にあたっては、社内通達や法務知財部のポータルサイトで全社に周知しました。依頼者用のマニュアルも作成し、一緒に案内しました。以前から契約審査の依頼はワークフロー化されていたので、OLGAへの移行に際しても、大きな混乱はありませんでした。
展開後、すぐにOLGA経由での依頼が寄せられ始めました。依頼者にとっても難しくない仕組みになっているので、問い合わせも少なく、非常にスムーズに定着できたと感じています。
依頼者の方からは「法務側とのやり取りがOLGAからのメールだけで完結できるようになったので、非常にやりやすくなった」という嬉しい声をもらっています。業務効率化だけでなく、依頼者側の利便性も向上できました。

「OLGA上で完結」する新しい業務スタイルへ
──導入して抱えていた課題はどの程度解決または改善されましたか
髙橋様:
OLGAの導入によって、最大の課題であった法務案件の「一元管理」が実現しました。以前から抱えていたナレッジ化に対する課題は、これでほぼ解決されたと感じています。
導入前は、重要な検討過程の情報がメールなどに分散し、それが業務の非効率性を生む大きな原因でしたが、今は業務が「OLGA上で完結できる」ようになりました。これが本当に気に入っています。
例えば、契約書の修正案の作成も、契約書バージョンの比較も、参考資料の閲覧も、いちいちPCにファイルをダウンロードする手間が省けました。すべてブラウザ上でシームレスに確認したり、編集したりできるので、作業の中断が少なくなり、集中して案件に取り組めています。
また、部内でのメッセージのやり取りも含め、すべての情報がOLGA上で確認できるようになったため、別のシステムを立ち上げる手間がないのも大きいです。煩雑な検索やファイルのダウンロードに費やしていた時間が削減されたことで、法務担当者はより本質的な検討業務に集中できるようになりました。
──導入して想定外のメリットや効果を感じている点はありますか
髙橋様:
「対応した案件を見える化できた」ことが、想定外の効果として感じています。
以前は、契約審査が終わった後に来る簡単な質問や、付随する確認などは、メールでさっと返答して案件数としてカウントせずに終わらせていました。しかし、現在は簡単な質問でもサブ案件機能を積極的に活用し、案件として管理するようにしています。
その結果、法務が実際にどれだけ多くの相談や質問に対応していたのかが、正確に把握できるようになりました。可視化できたことで、「実はこんなに忙しかったんだな」と実感しています。今後の人員計画や業務配分、あるいは部内の業務負荷の適正化を考える上で、非常に貴重なデータが得られたと考えています。
──OLGAで気に入っている機能は何ですか、またその理由を教えてください
髙橋様:
最も気に入っている点は、やはり「依頼に関する情報が1画面に集約されている」ことです。これがOLGAの最大の魅力だと感じています。
従来のメールベースの運用では、案件の全体像を把握するために、メールスレッドを開き、ファイルをダウンロードし、別のワークフローシステムを参照する必要がありました。それが、今ではOLGAを開くだけで、案件にまつわる全ての情報をまとめて確認できます。
依頼内容はもちろん、契約書のバージョン履歴、アップロードされた参考資料、依頼者とのやり取り、そして部内や経理部との検討のやり取り、外部の弁護士とのやり取りまで、すべてが1画面で紐づけられています。すぐに経緯を把握できますし、過去の案件を検索してナレッジとして活用する際の効率が格段に向上しました。

──今後OLGAに期待していることはありますか
髙橋様:
せっかくOLGAで貴重なナレッジが蓄積できているので、今後はこのデータをどう活かしていくか、というところが重要になってくると考えています。単なる案件管理システムではなく、戦略的な資産として活用していきたいです。
最近、分析機能のアップデートなど、蓄積したデータ活用にフォーカスした機能のリリースがありましたが、今後もさらにナレッジの活かし方自体を提案してもらえるような機能やアップデートがあると嬉しいです。
OLGAは頻繁に機能のアップデートがあるので、その点も非常に期待しています。法務担当者のみならず、全社にとってより利便性の高いツールへと進化してくれることを願っています。
──他の会社の法務の方へのメッセージをお願いします
髙橋様:
システム導入を検討している段階では、なかなか実際に利用する際のイメージがつきにくいと思いますし、新しいシステムを導入するとなると、少なからず運用を変える必要が出てきます。しかし、その辺りの運用の不安点や不明点については、OLGAの担当の方に相談すると、何かしら解決方法を教えてもらえると思います。ぜひ、まずは相談してみてください。