法務コラム
法務案件管理システム導入が遅れる3つの誤解と、スムーズに導入する方法
投稿日:2025.06.26
契約書レビューや法律相談など多岐にわたる業務に追われ、実際の対応に加えての案件管理に課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
最も一般的な、メールやチャットで依頼を受け付け、Excelで台帳管理し、共有フォルダでファイルを保存、といったプロセスでは、非効率さやミス、抜け漏れへの不安がつきまといます。そのような場合、案件管理ツールの導入は現状を改善する一手となりえます。
法務業務専用ではなくても、案件を受け付けて管理をするツール・方法は存在します。一方で、導入にかかる負荷が大きい場合もあり、また業務フローの変革は受け付ける法務部門だけではなく依頼をする事業部の反発なども心配されます。
この記事では、法務案件管理における従来の課題を解決するためのシステム導入に際して、多くの企業が抱く誤解を解き明かします。そして、直感的で使いやすい法務オートメーション「OLGA」が、これらの課題をどのように解決し、法務業務に具体的な改善をもたらすのかを解説します。
法務案件管理の自動化にはOLGAが便利です。
目次
一般的な法務案件の受付管理フローの実態
まずは、多くの企業で採用されているメールやチャット、Excel、共有フォルダを用いた法務案件を例にとり、一般的な案件管理業務の流れとそこに潜む非効率やリスクを見ていきましょう。
手作業による案件台帳作成の負担
多くの法務部門では、事業部からメールで受けた法務案件の依頼内容を、手動でExcelの案件台帳に転記しています。
(1) 依頼内容の転記の手間:
案件依頼はメールやチャットでテキストで届きます。担当者はその都度、テキストの中から必要な情報を割り出し、手作業でExcelにコピー&ペーストしなければなりません。
また、案件のステータスも管理する場合は、案件に動きがある際に都度台帳を開き、ステータスの更新をする必要が発生します。
台帳は、情報管理の側面と情報共有の側面を持っています。特に対応漏れなどが発生すると、他者が台帳を確認した際に状況を誤認する可能性もあるため、タイムリーな管理が求められます。
(2) 膨大なデータ入力:
法務案件を管理する場合、法務側、事業部側双方の担当者や取引先名、契約書の種別等々、最終的に必要なExcelの案件台帳項目は10項目を超えるようになることも珍しくありません。
案件数にもよりますが、計算してみると年間で数万項目を埋める手作業が発生することもあります。この手作業は、入力ミスや抜け漏れのリスクを高め、本来の業務に集中する時間を奪ってしまいます。
契約書のバージョン管理とメール保存の煩雑さ
事業部とのやり取りにおいて、契約書の修正やレビューは複数回発生します。その度に、契約書のバージョンやメールの内容を手動で共有フォルダに格納する作業が必要です。
(1) バージョン管理の複雑化:
一つの案件で何度もファイルが往復するため、数多くのファイルが共有フォルダに格納され、最新版の特定や履歴の追跡が困難になります。
フォルダ構成やファイル名の命名規則などで一定の管理は可能になりますが、すべて手作業で行う必要があり、年間では数千件のファイル格納作業に及ぶこともあります。
(2) 情報の分散と検索性の悪さ:
やりとり内容はメール、案件情報はExcel、契約書は共有フォルダ、といった形で案件にかかる情報が分散しがちです。
これにより、後から特定の情報を探す際に、それぞれの媒体で該当の案件の情報を検索する手間が発生し、いざ見つかったとしても内容を確認する際に複数の画面を行き来する手間が発生します。
情報の属人化とナレッジの埋没
管理の仕方によっては、検索すること自体ができなくなることもあります。また、法務部門間でのナレッジ共有や、後任への引継ぎなどにも支障が生じる場合があります。
(1) 担当者の退職リスク:
特にメールを使っている場合に顕著になるのが、退職による情報喪失のリスクです。メールは基本的に受信者しか検索が行えないため、退職や担当者の不意の長期離脱などの際に問題が発生します。
法務の現場では、過去との整合性を図る場面も多いため、非常に重要な問題と言えます。
(2) ナレッジの埋没:
必要な情報が分散しているため、過去の類似案件やナレッジを効果的に活用することが難しいのが現状です。共有しようとすると、一度様々な情報を整理するところから始める必要があり、追加の業務となってしまいます。
共有ができない場合は、過去に有効なユースケースが存在していたとしても、毎回ゼロから対応を検討する必要が生じ、業務の非効率性を招きます。
案件管理システム導入の難しさ
前章で紹介した、一般的な法務案件管理の課題を解消するのが、案件管理システムの導入です。しかし、案件管理システムの導入には、これまでとは別の難しさも存在します。ここでは、案件管理システム導入に際しての、その難しさについて考えます。
「使いこなすまでに時間がかかりそう」という誤解
多くの法務担当者は、「システムを導入しても、使いこなすまでに時間がかかり、かえって業務が煩雑になるのではないか」という不安を抱えています。
(1) 業務フローの再構築:
操作が難しい場合は言わずもがなですが、仮に簡単だとしても、”法務”案件管理ツールではない場合は、法務業務に溶け込むような造りに最初からなっているツールはなかなか存在しません。
前章で上げたような課題がすべて解消できない場合、それに対する新しい業務フローの構築などにも時間を割かれることになります。
(2) 導入推進者への質問集中:
導入推進者がシステムを使いこなせても、他のメンバーが同じように使えるかは未知数です。
チームとして利用をするからには、利用者全員が一定の必要最低限の知識を持つ必要がありますが、結果として、特に導入初期段階には導入推進者に利用に関する質問が集中してしまう恐れがあります。
「利用開始までの準備が大変そう」という誤解
案件管理システムの導入には、利用方法の理解、システムを使った運用フローの構築など、利用開始までの検討事項が多く、準備が大変だというイメージがあります。
(1) 追加業務の負担:
利用開始の準備は、通常の日常業務に加えて行われる「追加業務」となるため、日常業務の中で割り当てられる時間はそう多くありません。
単純にツールの中で設定するための工数に加え、検討を進めるなかで従来の業務フローからの変更のため、新しい業務フローを考える必要があります。
(2) スムーズな移行への懸念:
複雑な設定やフローの設計が必要だとなると、スムーズな移行ができるかどうかの懸念が生じ、導入への足かせとなります。
立ち上げの段階で多くの時間が要求されると、最悪の場合途中でプロジェクトが頓挫する可能性も発生してしまいます。より簡易な方向へ方針転換が発生する場合も、結果として当初求めていた効果が得られなくなってしまう可能性もあり、導入の効果が薄れてしまうことにも繋がりかねません。
「事業部側の理解が得られるなさそう」という誤解
システムの導入は利用の主体である法務部だけではなく、事業部にも影響します。事業部の理解を得られない場合、導入障壁になるのではないかと心配する声も上がります。
(1) 従来のフローへの逆戻り:
特に移行期に発生してしまうケースが多いですが、もし事業部が新しい業務フローを使用してくれない場合、従来のフローでの依頼が発生します。
この場合、従来のフローと新しいフローでの業務が発生する形になり、かえって法務部の業務が煩雑になってしまう可能性があります。
(2) コミュニケーション障壁:
慣れ親しんだ方法を変革することは、少なからず抵抗感を生むものです。事業部側にもわかりやすいメリットがある場合は別ですが、多くの場合は変更のための負担が生じるため、法務部と事業部間のコミュニケーションが滞り、業務が円滑に進まなくなるリスクも考えられます。
システム導入時に工夫できることとその限界
これまで見てきたとおり、法務案件管理にはシステムの導入が有効打となる一方で、システム導入自体が抱える課題も存在します。
ここでは、一般的な案件管理システムを導入する際に、これらの課題を克服するために工夫できることと、それでもなお残る限界について説明します。
操作性の高いシステム選定とトレーニング
「使いこなすまでに時間がかかりそう」という不安を解消するためには、直感的に操作できるUIを持つシステムを選定し、導入後に十分なトレーニングを実施することが考えられます。
(1) ユーザーインターフェースの重視:
マニュアルを読まずとも基本的な操作ができるような、シンプルで分かりやすい画面設計のシステムを選ぶことで、利用開始時のハードルを下げることができます。
自社のルール上で必要な作業やフェーズを棚卸し、それらを実施できるかどうかも、選定のポイントになります。
(2) 定期的なトレーニングとQ&A:
システム導入後も、定期的な操作説明会やQ&Aセッションを設けることで、疑問点を解消し、メンバー全員がスムーズに使いこなせるようサポートすることが重要です。
提供会社のサポート体制も重要な判断軸となるでしょう。
(3) 工夫の限界:
シンプルさを求めると、必要な機能が揃わないことがあり、かえって業務を複雑化してしまう恐れがあります。一方で、システムの機能が多岐にわたる場合や、複雑な業務フローをシステムに落とし込む際には、どうしても学習コストが発生します。
また、トレーニングの機会を設けても、個々のITリテラシーや慣れのスピードには差があり、導入推進者に質問が集中する状況は避けられない可能性があります。
スモールスタートと段階的な導入
「利用開始までの準備が大変そう」という誤解を解消するためには、一度に全てを導入しようとせず、スモールスタートで段階的に導入を進める方法が有効です。
(1) 最小限の機能から開始:
まずは案件登録と基本的なステータス管理など、必要最低限の機能から利用を開始し、徐々に機能拡張や連携を進めます。一度に大きな変更を加えないため、操作を覚える必要など、導入時の負担を軽減できます。
(2) パイロット運用:
特定のチームや少数の案件タイプでパイロット運用を行い、課題を洗い出して改善することで、本格導入時のリスクを低減できます。
特に、事業部の意見を参考に業務フローを組みなおすことで、本格運用の際の事業部側の反発なども防止することができます。
(3) 工夫の限界:
スモールスタートは有効な手段ですが、それでもシステム設定や既存データの移行、運用フローの検討といった初期準備作業は発生します。これらの準備は「追加業務」となり、日常業務と並行して行うには時間的制約が大きく、法務担当者にかかる負担は少なくありません。
また、最低限の運用の場合は従来フローと比べ、一部を新しいツールで行い、そのほかを従来のツールで行うことになりえます。ツールがまたがることで、情報の分断などが生まれやすく、効果を最大限に発揮できない恐れもあります。
事業部への負担軽減と協力体制の構築
「事業部側の理解が得られるか不安」という心配に対しては、事業部側の負担を最小限に抑え、協力体制を築くことが重要です。
(1) アカウント管理の簡素化:
事業部側のアカウント発行や管理を簡素化できるシステムを選ぶ、あるいは法務部側で一括管理できる仕組みを検討することで、事業部の手間を減らせます。
アカウントは社員の数や入退社の数などにより手間が大きく変動するため、重要なポイントとなります。
(2) 依頼フォーマットの統一:
システムを通じて依頼フォーマットを統一し、依頼時に必要な情報を明確にすることで、事業部が「何を伝えればよいか分からない」という悩みを解消し、手戻りを減らすことができます。
(3) 工夫の限界:
事業部側が新しいシステムにログインしたり、新しいインターフェースに慣れたりする必要がある場合、どうしても利用への抵抗感が生まれる可能性があります。
従来のメールやチャットでのやり取りが残ってしまうと、かえって情報が分散し、法務部の業務が煩雑になるリスクは依然として残ります。
法務オートメーション「OLGA」がもたらす解決策とメリット
これまで見てきたように、一般的な案件管理システム導入には様々な工夫が必要であり、それでもなお残る限界があります。
しかし、法務オートメーション「OLGA」は、これらの課題を根本的に解決します。ここでは、法務案件管理システムの導入に際して抱かれがちな誤解と課題を、OLGAがどのように解決するのかを具体的に説明します。
「使いこなすまでに時間がかかる」誤解を払拭する直感的なUI
OLGAは、法務部員が「マニュアルを読まずに理解できた」と評価するほど、直感的で分かりやすいUIを提供しています。
(1) 法務業務を前提にした設計:
100社を超える企業の法務部門へのヒアリングを経て開発されたOLGAは、法務部員の日常業務にスムーズに溶け込むように設計されています。
法務業務特有のバージョン管理や過去案件の検索システムなども構築されており、OLGA上で必要な業務にすべて対応できるような設計がなされています。
(2) わかりやすいUI:
直観的でわかりやすいUIが好評です。法務業務を前提にした造りだからこその、各業務を細分したうえでそれらの繋がりも意識したUI設計となっています。
万が一、自社の固有事情とシステムが複雑に絡む場合も、各社専任のカスタマーサクセスが業務フローの構築までサポートします。
「利用開始までの準備が大変」を覆す最短導入と伴走支援
OLGAは、利用開始までの準備負担を大幅に軽減し、平均3〜4週間での全社展開を可能にします。
(1) デフォルトフォームの活用:
デフォルトの依頼フォームを手直しするだけで、最短での全社利用開始が可能です。依頼フォームの編集は案件の管理項目の設計に直結するため、依頼フォームさえ整えば残りは通知の設定(いらないものをOFFにする)など、軽微な調整のみになります。
複雑なシステム設定や運用フロー構築に時間を費やす必要がないため、社内導入のための準備に大きく時間を割けない場合も利用開始まで最短で行き着くことが可能です。
(2) 専任カスタマーサクセスによる支援:
専任のカスタマーサクセスチームが充実した伴走支援を実施致します。操作のレクチャーにとどまらず、各社の事情に照らした業務フローの構築なども支援しており、導入時の疑問や課題を迅速に解決し、スムーズな運用開始を徹底的にサポートします。
「事業部側の理解が得られない」不安を解消する事業部にも優しい設計
OLGAは、事業部側が新たなアカウントを持つ必要がありません。普段使い慣れたツールで法務部と連携できるため、事業部がOLGAの操作を覚える必要はありません。
(1) アカウント不要の依頼フォーム:
事業部はOLGAのアカウントを持つことなく依頼フォームを通じて法務案件を依頼できます。依頼後も、メール、Slack、Teamsのいずれかで法務部からのメッセージ通知を受け取ることができ、返信も通知を受け取ったツールから行うことができます。
依頼フォームの送信以外は、従来の業務フローからの変更がないため、事業部側は新しいツールの操作を覚える必要がなく、スムーズに移行できます。
(2) 依頼内容の明確化:
依頼フォームがあることで、「依頼時に法務部に何を伝えればよいかわからない」といった事業部の悩みが解消され、必要な情報が過不足なく法務部に届くようになります。
法務部としても、初期情報が不足していると依頼者に対し質問をせざるを得ず、場合によっては取引相手にも確認する必要が発生し、取引のスピードが鈍化します。初期情報の充実は、法務部の対応スピードアップという形でメリットとして事業部に返ってきます。
OLGA導入事例
実際にOLGAを導入した企業からは、以下のような声が寄せられています。
郵船ロジスティクス株式会社様
- 毎日1時間半行っていた案件受付業務がゼロになった。
- 過去の案件ナレッジを活かすことも非常に簡単になり業務キャパシティが格段に向上した。
株式会社エムティーアイ様
- 年間1万件以上のExcel管理・ファイル格納の工数が0になった。
- 過去の案件の検索や分析時間が圧倒的に効率化された。
まとめ:法務業務のDXを実現するならOLGA
従来の法務案件管理は、非効率なプロセス、情報の分散、属人化といった課題を抱え、企業全体のビジネススピードを鈍化させていました。
これらの課題を解決するためにはシステム導入が有効ですが、「使いこなせるか」「準備が大変か」「他部署の理解が得られるか」といった新たな懸念が生じることも少なくありませんでした。
しかし、法務オートメーション「OLGA」は、これらの懸念を根本的に解決します。OLGAは、法務業務に特化した直感的なUIを提供し、「使いこなすまでに時間がかかる」という誤解を払拭します。デフォルトフォームの活用と専任カスタマーサクセスによる手厚い伴走支援により、最短での全社展開を可能にし、「利用開始までの準備が大変」というイメージを覆します。
さらに、事業部門はOLGAのアカウントを持つ必要がなく、普段使い慣れたツールで連携できるため、「事業部の理解が得られない」という不安も解消されます。依頼フォームによる情報明確化は、法務部門の手戻りを減らし、対応スピードを向上させます。
法務オートメーション「OLGA」は、依頼受付から契約管理・ナレッジ活用まで、分散した法務業務を一気通貫で自動化します。
外部ツールとの柔軟な連携により、これまでバラバラに管理されていた情報や業務フローを統合し、単なる業務効率化にとどまらず、「人にしかできない判断」に集中できる仕組みの構築を支援します。
詳しくは資料をご覧ください