投稿日:2026.01.15

契約書は企業の権利を守り、存続を左右する重要な経営資産です。しかし、その管理において、多くの企業が課題を抱えているのが実情です。

たとえば、「膨大な書類から必要な情報がすぐに見つからない」「更新期限を見逃し、不利益な条件で自動更新されてしまった」といったリスクに直面するケースは少なくありません。

こうした非効率な管理体制は、単なる手間の増加にとどまらず、企業の競争力低下に直結する大きな問題といえます。

本記事では、契約書管理における課題を解決するための最適なソリューションとして、契約書管理システムに焦点を当てて解説します。

 

契約書管理システムとは

契約書管理システムとは、企業が取り扱うあらゆる契約書を電子的に一元管理し、業務を効率化するためのツールです。締結した契約書の保管、更新、破棄に至るまでのプロセス全体をデジタルで管理します。

契約業務全体を自動化・効率化するための多岐にわたる機能を備えており、紛失リスクの低減、迅速な情報検索、更新期限のアラート通知などにより、企業の資産である契約情報を安全かつ確実に運用できるようになります。

契約書管理システムの主な機能

契約書管理システムが提供する機能は多岐にわたりますが、中でも業務の効率化とリスク低減に貢献する、代表的な機能を解説します。

契約書の一元管理機能

契約書をシステム内に集約し、取引先名や締結日などのメタデータを付与して管理します。物理的な保管スペースが不要になり、ペーパーレス化によるコスト削減にもつながります。

更新期限の自動通知機能

契約の満了日や更新期限の前に、担当者へ自動で通知を送ります。手動管理による更新漏れのリスクを排除し、適切なタイミングでの条件交渉を可能にします。

検索・閲覧機能

キーワードや条件指定による高速検索が可能です。あわせて、部署や役職に応じた閲覧権限の設定により、機密情報の漏洩リスクを最小限に抑えます。

変更履歴管理機能

「いつ、誰が、何を変更したか」の履歴を自動記録します。万が一トラブルが発生した際も、過去の経緯を正確に遡ることができるため、企業としての信頼性を維持できます。

契約書管理の3つの方法:課題に合わせた選び方

企業における契約書管理は、主に「紙」「Excel」「システム」の3つの方法に分類されます。それぞれの特徴を理解し、自社の規模や課題に合わせた方法を選ぶことが重要です。

管理方法 メリット デメリット
紙(アナログ) 初期費用がかからず、原本を物理的に確認できる安心感がある 検索に時間がかかる。紛失・破損リスク。電子帳簿保存法への対応が困難
Excel台帳 コストを抑えつつ検索性を向上できる 入力ミスや漏れが起きやすい
契約書管理システム 台帳作成・更新管理の自動化が可能 導入・運用コストが発生する。操作を覚える必要がある

2024年1月施行の改正電子帳簿保存法により、電子取引データの紙保存は原則として認められなくなりました。電子署名の普及やペーパーレス化が加速する昨今、従来のアナログ管理を維持することは、法令遵守や業務効率の観点からも限界を迎えつつあるといえます。

参考:電子取引関係(国税庁)

おすすめ契約書管理システム6選

契約書管理システムと一口にいっても、対応領域や設計思想はサービスごとにさまざまです。

紙契約書の管理に強みを持つもの、契約の作成から更新・管理までを包括的にカバーするCLMなど、選択肢は年々広がっています。

重要なのは、「有名だから」「導入企業が多いから」といった理由ではなく、自社がどのフェーズの課題を解決したいのかを起点に選ぶことです。

ここでは、主要な契約書管理システムを「解決したい課題別」に分類し、それぞれの特徴を整理します。

※各社の情報は2026年1月時点のものです。最新の情報や詳細は、各公式サイトをご確認ください。

紙の契約書管理に強みを持つシステム

紙で締結した契約書が大量に保管されており、「探すのに時間がかかる」「管理が属人化している」といった課題を抱える企業では、まず紙契約書のデジタル化と可視化が優先事項になります。

Contract One(Sansan株式会社)

名刺管理サービスで知られるSansanが提供する契約書管理システムです。AI-OCRと手入力補正により、紙の契約書を高精度でデータ化し保存することができます。

紙紙の契約書のスキャン代行も行うため、紙契約書と電子契約を横断して検索・管理できるため、紙管理から脱却したい企業の第一歩として導入しやすいサービスといえます。

公式URL: https://contract-one.com/

WAN-Sign(株式会社NXワンビシアーカイブズ)

WAN-Signは、物流・文書保管の分野で実績を持つNXグループが提供する契約書管理サービスです。
紙の契約書をデジタル管理するだけでなく、原本の倉庫保管や機密抹消までを含めて一括で委託できる点が特徴です。

紙と電子が混在する過渡期において、物理保管を含めた契約書管理体制を整理したい企業にとって、現実的な選択肢となります。

公式URL: https://wan-sign.wanbishi.co.jp/

契約ライフサイクル全体を網羅するCLMシステム

CLM(契約ライフサイクル管理)システムは、契約書の保管にとどまらず、作成・審査・締結・更新・履歴管理まで、契約業務全体を通じて最適化したい企業に向いています。

法務部門の生産性向上やガバナンス強化を目的とする場合、有力な選択肢となります。

LegalOn(株式会社LegalOn Technologies)

LegalOnは、AIによる契約書レビュー支援に加えて、契約書管理機能も含めたCLMとして利用できます。
締結後の契約書から管理項目を自動抽出し、管理台帳を自動生成できる点が特徴です。

公式URL: https://www.legalon-cloud.com/

OLGA(GVA TECH株式会社)

GVA TECHが提供するOLGAは、契約審査の「案件受付」から「契約書管理」までをシームレスにつなぎ、契約に関する検討経緯やナレッジを一元管理できるCLMです。
契約書を単に保管するのではなく、事業部とのやりとりや検討経緯を含む法務業務全体を、再利用可能な“社内データ”として蓄積・活用できるよう設計されています。

外部の電子署名サービスやワークフローシステムとも柔軟に連携できるため、既存プロセスを大きく変えずに法務DXを推進したい企業に向いています。

公式URL:https://olga-legal.com/

契約書以外の書類の管理も可能なシステム

契約書だけでなく、社内規程や申請書、各種業務文書も含めて管理したい場合は、文書管理を主軸としたシステムが選択肢になります。
全社的な情報管理基盤としての活用を想定するケースで検討されます。

MyQuick(インフォコム)

MyQuickは、企業内での文書管理全体を支援するシステムです。
契約書専用の管理ツールではありませんが、社内規程や申請書、業務マニュアルなどとあわせて、全社的な文書管理基盤として契約書も一元管理したい企業に適しています。

契約書管理を単独で高度化するというより、情報管理の標準化・統制を優先したい場合に選択肢となります。

公式URL: https://www.myquick.jp/

楽々Document Plus(住友電工情報システム株式会社)

楽々Document Plusは、長年の文書管理実績を背景に、安定性と運用のしやすさを重視した設計が特徴です。

契約書を含む多様な文書を、統一されたルールで管理することができます。

公式URL: https://www.sei-info.co.jp/document-plus/

契約書管理システムを比較する際に抑えておきたいポイント

ここでは、契約書管理システムを選定する際に、特に重視すべき3つのポイントを整理します。
この観点を押さえておくことで、導入後に「想定と違った」という失敗を防ぎやすくなります。

機能

まず確認すべきなのが、システムの機能です。
ただし、機能の数が多いかどうかではなく、自社の契約書管理業務における課題解決に直結するかという視点で見ることが欠かせません。

導入検討時には「何ができるか」を感覚的に捉えるのではなく、比較項目を揃えたうえで整理することが重要です。

以下のような機能を軸に比較表を作成し、
「対応の有無」だけでなく「どこまで自動化・一元化できるか」という観点で確認すると、違いが見えやすくなります。

  • 台帳の自動作成
  • 管理項目の自動抜き出し
  • 台帳出力
  • 更新期限通知
  • 関連資料との紐づけ
  • 案件管理との連携
  • 全文検索
  • 電子契約との連携
  • 閲覧権限設定
  • 紙の契約書の電子化対応
  • 紙と電子契約の一元管理

管理範囲

次に意識したいのが、管理できる範囲です。
契約書管理システムには、大きく分けて次の2つのタイプがあります。

  • 契約書の保管・検索を主目的としたシステム
  • 契約の作成・審査・管理まで含めたCLMシステム

契約件数が少なく、管理負荷も限定的な場合は、前者でも十分なケースがあります。

一方で、契約審査のやりとりや判断履歴を蓄積し、法務業務全体の生産性を高めたい場合は、後者のCLMが適しています。

自社が「どこまでを管理したいのか」を明確にすることが、システム選定の分かれ道になります。

料金体系

ユーザー数に応じた課金、契約書数に応じた従量課金、機能の範囲に応じたプラン等があり、
初期費用が無料〜30万円程度、月額利用料が1万円〜6万円程度が一般的です。

ただし、注意したいのは表面的な料金だけで判断しないことです。
次のような費用が別途発生するケースもあるため、ベンダーに丁寧に確認し、トータルでかかる費用を把握するようにしましょう。

  • AI機能や高度な検索機能のオプション費用
  • 電子契約サービスとの連携費用
  • 導入時の設定・移行支援費用
  • 既存の紙契約書を電子化するための費用 など

サポート体制

契約書管理システムは、導入して終わりではなく、実際に業務で使われ、定着して初めて効果を発揮します。

特に法務部門が少人数の場合、ベンダーの伴走支援があるかどうかで、導入後の負担は大きく変わります。

導入を成功に導くためのロードマップ

契約書管理システムを企業の業務フローに定着させ、生産性向上を実現するためには、戦略的な計画と段階的な実行が不可欠です。

ここでは、契約書管理システムの導入について、3つのステップで解説します。

導入目的と要件を整理する

最初に行うべきは、「なぜ契約書管理システムを導入するのか」を明確にすることです。
この工程を曖昧にしたまま進めてしまうと、機能の多さや価格だけで判断してしまい、
結果として自社に合わないシステムを選んでしまうリスクがあります。

まずは、現在の契約書管理業務において、どのような課題が発生しているのかを洗い出します。
検索に時間がかかっているのか、更新管理が属人化しているのか、事業部とのやりとりが煩雑なのか、といった点を具体化することが重要です。

比較表の作成

導入目的と要件が整理できたら、次は複数のサービスを比較検討するフェーズに入ります。
先述した比較表を作成し、自社の要件に合致しているかを確認するようにしましょう。

無料トライアルで実際の使い勝手を確認する

最終的な判断を行う前に、可能であれば無料トライアルを活用し、実際の操作感を確認することが重要です。

入力や検索のしやすさ、画面の分かりやすさ、現場メンバーが直感的に使えそうかといった点を確認しましょう。

法務部門だけでなく、事業部の担当者にも触ってもらうことで、
導入後の定着イメージを具体的に描けるかどうかを判断しやすくなります。

契約業務を“会社の資産”に変えるための第一歩

本記事で紹介したように、契約書管理システムにはそれぞれ強みや設計思想の違いがあります。比較ポイントと導入ロードマップを踏まえながら、自社の課題に合ったシステムを選定し、契約業務を“会社の資産”として蓄積・活用できる体制を構築していきましょう。

まずは複数サービスの資料請求や無料トライアルを通じて、自社にとって本当に使いやすいシステムを見極めることが、成功への第一歩となります。

 

この記事の監修者

山本 俊

GVA TECH株式会社 代表取締役
GVA法律事務所 創業者

山本 俊

弁護士登録後、鳥飼総合法律事務所を経て、2012年にスタートアップとグローバル展開を支援するGVA法律事務所を設立。
2017年1月にGVA TECH株式会社を創業。AI法務アシスタント、法務データ基盤、AI契約レビュー、契約管理機能が搭載されている全社を支える法務OS「OLGA」やオンライン商業登記支援サービス「GVA 法人登記」等のリーガルテックサービスの提供を通じ「法とすべての活動の垣根をなくす」という企業理念の実現を目指す。

Xアカウント:@gvashunyamamoto

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