法務コラム
法務相談システムおすすめ比較|案件管理を効率化する選び方を解説
投稿日:2026.09.09

法務への相談がメールやチャット、口頭など複数の経路から届き、その後の案件一覧はExcelやスプレッドシートで別途管理している。このような運用は、案件数が増えるにつれ「誰が何を対応しているのか分からない」「過去の相談や判断を探せない」といった問題が起こりやすくなります。
こうした課題を改善する手段の一つが、法務相談システム・法務案件管理システムです。
この記事では、法務相談・案件管理システムのおすすめサービスを比較するとともに、導入メリットや選び方について解説します。
法務相談・案件管理システムのおすすめサービスを比較
ここからは、法務相談や法務案件の管理に利用できる主なシステムを紹介します。
サービスによって対象領域や得意分野が異なるため、「何ができるか」だけでなく「どのような企業に向いているか」という視点で比較しましょう。
| サービス | 主な特徴 | 提供企業 | URL |
|---|---|---|---|
| OLGA | 法務相談・案件管理から締結済み契約書管理まで一元化。案件管理単体での利用も可能 | GVA TECH株式会社 | https://olga-legal.com/ |
| LegalOn | 案件管理とAIによるナレッジ活用を同一プラットフォームで実現 | LegalOn Technologies | https://www.legalontech.com/jp/products/matter-management |
| Hubble | 契約業務を軸に案件受付・契約管理を連携 | 株式会社Hubble | https://hubble-docs.com/ |
| ContractS CLM | 法務相談から契約作成、審査、承認、締結、保管まで管理 | ContractS株式会社 | https://www.contracts.co.jp/ |
※機能・提供内容はプランや契約内容によって異なる場合があります。最新情報は各サービス提供会社にご確認ください。
OLGA|法務相談の受付からナレッジ・AI活用まで一元化
OLGA(オルガ)は、GVA TECH株式会社が提供する法務オートメーションツールです。
契約書だけでなく一般的な法律相談も一元的に受付・管理でき、案件管理と同時に契約書のバージョンやコメント、参考資料などの法務データを蓄積できます。
大きな特徴は、日々の法務業務から自然にデータが蓄積され、後からナレッジやAIで活用できる状態を作ることを重視している点です。
依頼者側へのアカウントを発行せずに使用でき、既存の業務フローを大きく変えることなく、法務業務の属人化を解消することができます。
また、OLGAはMCPサーバーの提供を開始し、ChatGPT、Microsoft Copilot、Claudeなどの外部AIからOLGAに蓄積されたナレッジへのアクセスも可能になりました。
法務相談から契約書レビュー、締結済み契約書の管理まで一つのプラットフォームで対応できるほか、法務相談・案件管理機能のみの導入もできます。
LegalOn|AIを活用して案件管理とナレッジ活用を効率化
LegalOnは、LegalOn Technologiesが提供する法務AIプラットフォームです。
マターマネジメント機能では、メール、フォーム、チャットツールなどから寄せられる依頼を集約し、法務案件として管理できます。
各担当者が抱える案件やステータスを可視化できるほか、AIによる過去の類似案件や参考契約書のレコメンド、やり取りの要約などにも対応しています。
担当者別の案件数や対応時間などをダッシュボードで確認できるため、個々の案件管理だけではなく、法務組織全体のマネジメントにも活用できます。
Hubble|契約業務の進行と法務案件管理を一体化
Hubbleは、株式会社Hubbleが提供するAI契約業務・管理クラウドサービスです。
案件管理機能では、契約審査や法律相談を受け付け、案件一覧やダッシュボードから進捗状況を確認できます。
また、自社の基準に基づいてAIが法務対応の要否を判定する「前捌きAI」なども提供されています。契約審査や法律相談として受け付けた案件から、その後の契約業務へつなげやすい点も特徴です。
ContractS CLM|法務相談から契約ライフサイクル全体を管理
ContractS CLMは、ContractS株式会社が提供する契約ライフサイクルマネジメントシステムです。
法務相談を起点として、契約書の作成、レビュー、押印申請、締結、保管、更新期限管理など、契約に関する一連のプロセスを管理できます。
法務相談用のフォームを設定できるほか、案件の公開範囲を制御することも可能です。
「案件管理ツール」というより、契約業務全体のワークフローを整えるCLMとして検討したいサービスです。
法務相談システム・法務案件管理システムとは
法務相談システムとは、事業部門などから寄せられる法務への相談を受け付け、案件ごとの担当者や進捗、関連資料、やり取りなどを管理するためのシステムです。
法務への相談というと契約書レビューが代表的ですが、実際には法律相談、広告審査、新規事業に関する相談、コンプライアンス相談など、さまざまな依頼があります。
これらをメールやチャットだけで管理していると、個々の担当者の受信箱やチャット履歴に情報が蓄積され、他の担当者から案件の状況が見えにくくなります。
法務相談システムでは、こうした相談を「案件」として一元管理することで、次のような情報を把握しやすくします。
- 誰が担当していて、現在どのステータスなのか
- どのような相談内容だったのか
- どの契約書や資料が関連しているのか
- 事業部とどのようなやり取りをしたのか
- 最終的にどのような判断をしたのか
法務案件管理システム・マターマネジメントシステムとの違い
法務相談システムと近い言葉として、「法務案件管理システム」や「マターマネジメントシステム」があります。
マターマネジメント(Matter Management)とは、法務に寄せられた案件について、受付から進捗管理、関連資料、事業部とのコミュニケーション、対応結果などを集約・管理し、後から活用できる状態にする考え方です。
「法務相談システム」は相談の受付に、「法務案件管理システム」や「マターマネジメントシステム」は受付後を含めた案件全体の管理に焦点を当てた表現として使われることがありますが、実際にカバーする領域は重なっています。
本記事では、これらをまとめて「法務相談や法務案件を受付から完了まで一元的に管理するシステム」として紹介します。
契約書管理システム・CLMとの違い
法務相談システムと混同しやすいものに、契約書管理システムやCLM(契約ライフサイクルマネジメント)があります。
主な違いは「何を中心に管理するか」です。
| 種類 | 主な管理対象 |
|---|---|
| 法務相談・案件管理システム | 法務への相談、案件、担当者、進捗、やり取り、関連資料 |
| 契約書管理システム | 締結済み契約書、契約情報、期限、更新情報など |
| CLM | 契約書の作成、審査、承認、締結、保管、更新など契約ライフサイクル全体 |
ただし、現在は一つのサービスで法務相談、案件管理、契約書レビュー、契約管理などをまとめて扱える製品も増えています。
そのため、製品カテゴリーだけで判断するのではなく、「自社がどの業務まで一元化したいのか」から必要な機能を考えることが重要です。
法務相談システム・法務案件管理システムの機能
法務相談システム・法務案件管理システムには、主に相談受付、案件登録、担当者・ステータス管理、関連資料やコミュニケーションの集約、過去案件の検索、業務分析などの機能があります。製品によっては、AIによる類似案件の検索や案件要約、相談の一次対応などにも対応しています。
どこまでの業務をカバーできるかは製品によって異なります。契約審査だけを管理したいのか、法律相談や広告審査、新規事業相談まで含めて一元化したいのかを整理したうえで、自社に必要な機能を確認することが重要です。
法務相談・案件管理システム以外にも、契約書レビューや契約管理、電子契約など、法務業務を支援するリーガルテックにはさまざまな種類があります。周辺サービスも含めて全体像を整理したい場合は、リーガルテックカオスマップもあわせてご覧ください。
法務DXで「相談の入口」を整えることが重要な理由
法務DXを考える際、AI契約書レビューや生成AIなど、個別の業務を効率化するツールから検討を始めるケースも多いでしょう。
こうしたツールによる業務効率化も重要な一方で、法務業務全体を考えると、その前段には多くの場合「相談」が存在します。
たとえば契約審査であれば、下記のような流れとなります。
事業部から法務へ相談する
↓
相談内容や取引背景を確認する
↓
担当者を決める
↓
契約書や関連資料を確認する
↓
事業部とやり取りする
↓
法務として判断・回答する
↓
案件を完了する
また、過去の類似案件や自社独自の判断基準、取引背景などがAIから参照できる状態になっていなければ、一般的な法的観点を中心としたレビューにとどまり、自社の実務に即した判断へつなげにくくなります。
そのため、法務DXを進める際には、個別業務の効率化だけではなく、法務業務の入口となる相談受付から情報を蓄積し、後から活用できる状態まで含めてプロセス全体を見ることが重要です。
相談の入口が整っていないと法務データが分散する
相談経路が分散すると、日々の法務業務から生まれる情報も分散します。
たとえば、ある新規サービスについて事業部から相談を受け、法務担当者が過去事例や法令を調査するとします。
このとき、
- 相談内容は社内チャットで受付
- 資料はメール
- 調査結果は担当者のPC
- 最終回答は再びチャットツール
という状態になっていると、後から同じような相談が発生しても、どこにどんな情報が整理されているかが分からず、一連の判断をナレッジとして再利用することが難しくなります。
法務相談の入口を整えることは、日々の相談内容や検討過程、判断を「後から使えるナレッジ」として蓄積するための起点でもあります。
法務データの整備は生成AIを活用するうえでも重要
生成AIを法務業務に活用する企業も増えていますが、生成AIを法務業務で効果的に活用するには、AIそのものの性能だけでなく、参照させる自社の法務データをどのように整備するかも重要です。
「過去に似た案件でどのような判断をしたのか」「自社ではどのような基準で対応してきたのか」といった情報をAIが参照できる状態にしておけば、自社の法務業務に合わせた生成AI活用につなげやすくなります。
法務相談・案件管理システムは、案件を管理し、検索性を高めるだけではなく、法務DXや生成AI活用の土台となるデータを蓄積する仕組みとしても捉えることができます。
関連ウェビナー:Gemini / NotebookLMで構築!「法務相談対応」自動化の仕組み ~自作方法・運用ノウハウを徹底解説~
法務相談システムを導入する5つのメリット
法務相談システムを導入することで、法務担当者の案件管理だけでなく、事業部とのコミュニケーションやナレッジ活用にも効果が期待できます。
法務相談の窓口を整理できる
法務相談に対してメール、チャット、口頭など複数の経路でやりとりしていると、依頼を見落としたり、案件として記録されなかったりする可能性があります。
相談窓口を整理することで、どのような案件が法務に寄せられているのかを把握しやすくなります。
メールやチャットツールとの連携が可能な法務相談システムであれば、既存のコミュニケーション手段を維持して事業部側の負担を抑えつつ、裏側で案件情報を一元的に管理できます。
法務部門の業務状況や案件の進捗を可視化できる
案件管理システムでは、「未対応」「対応中」「事業部回答待ち」「完了」といったステータスや担当者を一覧で確認できます。
担当者自身が抱えている案件を把握しやすくなるだけでなく、法務責任者やマネージャーも、誰にどの程度案件が集中しているのかを把握できます。
結果として、案件の対応漏れ防止や適切なアサインにもつながります。
また、案件情報を蓄積すると、
- 月間の相談件数
- 相談の種類
- 依頼部門
- 担当者ごとの案件数
- 案件の対応期間
なども把握しやすくなります。
法務部門は、事業部門のように売上などで成果を表しにくい部門です。
どのような相談にどれだけ対応しているのかをデータで把握できれば、業務改善のボトルネックの特定や、法務部門の活動を経営層へ説明する材料にすることができます。
案件管理台帳の作成、更新工数を削減できる
Excelやスプレッドシートで案件台帳を管理している場合、相談を受けるたびに案件名や依頼者、担当者、受付日、ステータスなどを転記し、その後も進捗に応じて更新する必要があります。一つひとつは単純な作業でも、案件数が増えると無視できない工数になり、入力漏れや更新忘れも起こりやすくなります。
法務相談システムの多くは、受け付けた相談をそのまま案件として登録できます。こうした仕組みを活用すれば、案件台帳を別途作成・更新する手間を減らし、法務担当者が実際の検討や回答に使える時間を増やせます。
やり取りや関連資料を案件単位で一元管理できる
法務案件では、依頼時に送られてきた契約書だけで判断できるとは限りません。
取引背景の説明資料や事業部からの追加情報、契約書の修正版など、案件の進行とともに情報が増えていきます。
これらを案件ごとにまとめて管理できれば、メールやチャット、ファイルストレージを横断して情報を探す手間を減らせます。
また担当者が異動、退職した場合でも、それまでの経緯を別の担当者が確認しやすくなるため、属人化の防止にも役立ちます。
過去の法務相談をナレッジとして活用できる
案件を一元管理しておけば、過去に似た相談があった際に、そのときの対応内容を参考にできます。前述した通り、生成AI時代に特に重要なのは、最終的な契約書だけでなく、「なぜその判断をしたのか」という検討過程までをナレッジとして残すことです。
過去案件を検索・再利用できる状態にすることで、担当者ごとに毎回ゼロから調査する必要が減り、法務部門として判断の一貫性を高めることにもつながります。
法務相談システムの選び方・比較のポイント
法務相談システムは、単純に機能数だけで選べばよいわけではありません。現在の相談方法や今後実現したい法務業務を整理したうえで、次のポイントを比較しましょう。
相談者(依頼者)が使いやすい設計か
法務側では管理しやすくても、相談者側の操作が複雑になると利用が定着しない可能性があります。相談時の入力項目数や進捗確認のしやすさも含め、依頼者側の体験まで確認することが重要です。
専用フォームだけでなく、メール、Slack、Teamsなど、現在利用しているコミュニケーションツールから相談できるサービスもあります。事業部側にシステム専用のアカウント発行やログインが必要なのか、普段のチャットやメールからそのまま依頼・やり取りできるのかも確認しておきましょう。
法務DXのために新しいシステムを導入しても、事業部視点での使い勝手が悪ければ、想定していた運用と異なってデータが一元管理されず、案件情報が再び分散してしまいます。
案件の担当者・ステータス・期限を管理できるか
誰がどの案件を担当しているのか、現在どのステータスにあるのかを一覧化できることは、案件管理の基本です。
法務マネージャーが利用する場合は、担当者別の案件数や滞留状況まで把握できるかも確認するとよいでしょう。また、案件の進行に応じてステータスが自動で更新されるのか、担当者が毎回手動で変更する必要があるのかも運用負荷を左右します。台帳管理の手間を減らしたい場合は、こうした更新の自動化範囲まで確認しましょう。
関連資料やコミュニケーションを案件に紐づけられるか
法務案件では、契約書や依頼時の資料だけでなく、事業部とのメールやチャットでのやり取り、契約書の修正版、調査資料など、案件の進行に応じてさまざまな情報が発生します。
これらの情報がメール、チャット、ファイルストレージなどに分散したままだと、後から案件の経緯を確認したり、過去の判断をナレッジとして再利用したりすることが難しくなります。
法務相談システムを比較する際は、契約書や添付資料だけでなく、メールやチャットなどのコミュニケーションも案件単位で紐づけて蓄積できるかを確認しましょう。
過去案件を検索・再利用できるか
法務案件を蓄積するだけでは、ナレッジとして十分に活用できません。
キーワードや案件属性から検索できるか、類似する案件を見つけやすいかなども確認しましょう。
AIによって関連案件をレコメンドしたり、自然文で過去案件を検索したりできる製品もあります。
法務部門の業務を分析できるか
マネジメント用途を重視する場合は、案件数や処理期間、担当者別の負荷などを分析できる機能も重要です。
単なる案件一覧ではなく、ダッシュボードなどで継続的に業務状況を確認できれば、データに基づいて法務組織を改善しやすくなります。
AI機能や外部AIとの連携に対応しているか
今後生成AIを本格的に活用したい場合は、AI機能も比較ポイントになります。確認したいのは「生成AIが搭載されているか」だけではありません。
過去案件や契約書など、自社に蓄積された法務データをAIから参照できるかが重要です。
AIによる類似案件検索、案件要約、相談の一次対応などに加え、外部の生成AIサービスとの連携性も確認するとよいでしょう。特に、MCP(Model Context Protocol)などを通じてChatGPTやMicrosoft Copilot、Claudeといった外部AIから、システム内に蓄積された過去案件やナレッジを参照できるかは、今後のAI活用を考えるうえで一つの比較ポイントになります。
法務DXの第一歩は「相談の入口」の整備から始めよう
法務相談システムは、単に法務への問い合わせを整理するためのツールではありません。日々の法務相談を案件として蓄積することで、「誰が、どのような相談に対し、どのような検討を行い、どのように判断したのか」を組織のデータとして残せるようになります。
法務DXというと、AI契約書レビューや生成AIといった個別の技術に注目しがちです。しかし、そのAIが自社の法務業務で十分に活用されるためには、参照できる法務データが蓄積されていることも重要です。
法務相談・案件管理システムを検討する際は、現在の案件を管理できるかだけでなく、そこで蓄積された法務データを将来どのように活用できるのかまで含めて比較するようにしましょう。
法務相談システムに関するよくある質問
法務相談システムとは何ですか?
法務相談システムとは、事業部門などから法務部門へ寄せられる相談を受け付け、担当者、進捗、関連資料、対応履歴などを案件単位で管理するシステムです。契約審査だけでなく、一般的な法律相談や広告審査などを管理できる製品もあります。
法務相談システムと契約書管理システムの違いは何ですか?
法務相談システムは「相談・案件」を中心に管理するのに対し、契約書管理システムは主に「締結済み契約書」を管理します。ただし、現在は法務相談から契約書審査、締結後の契約管理まで一つのサービスで対応できる製品もあります。
法務相談をExcelで管理することはできますか?
案件数が少ない場合はExcelやスプレッドシートでも管理できます。ただし、案件が増えると入力・更新の手間や転記漏れが生じやすく、相談内容や関連資料、コミュニケーションまで一元的に管理することも難しくなります。案件数の増加や属人化が課題になった場合は、専用システムを検討するとよいでしょう。
法務DXでは何から始めればよいですか?
企業ごとに課題は異なりますが、法務業務の入口となる相談受付・案件管理を整備することは有効な選択肢の一つです。
相談内容や対応履歴を一元化すると、案件管理を効率化できるだけでなく、日々の法務判断をデータとして蓄積できます。そのデータは、その後のナレッジ活用や生成AI活用にもつなげやすくなります。
生成AIを法務で活用するために案件管理は必要ですか?
必須ではありませんが、自社固有の過去案件や法務判断を生成AIで活用するには、それらの情報をAIが参照できる形で蓄積・整理しておくことが重要です。
法務相談・案件管理システムを活用し、相談内容、契約書、対応履歴、判断結果などを蓄積しておけば、生成AIを使った過去案件検索やナレッジ活用につなげやすくなります。
