投稿日:2026.07.06

変更覚書・契約書の書き方と作成ポイント【無料テンプレート、ひな形つき】

締結済みの契約について、契約期間や金額、業務内容などを変更する場合は、変更内容を記載した覚書を作成することがあります。

シンプルな文書でありながら、「どの箇所を書き換えればよいのか」「原契約との関係をどのように記載すればよいのか」が分からず、作成に迷うことも少なくありません。

この記事では、すぐに使える覚書テンプレートを無料配布するとともに、覚書の基本的な意味から、変更覚書の書き方・基本フォーマット、作成時の注意点、印紙税の考え方まで解説します。

無料で使える変更覚書のひな形・テンプレート

契約内容の変更や契約の終了に利用できる、3種類のひな形を用意しています。目的に合ったテンプレートをダウンロードし、原契約や実際の合意内容に合わせて必要な箇所を書き換えてください。

  • 契約期間変更の覚書
  • 金額変更の覚書
  • 解約合意書

覚書とは?

覚書とは、当事者間で合意した事項を書面として確認・記録するために作成される文書です。契約締結前の合意事項を整理する場合のほか、既に締結した契約を補足したり、一部の内容を変更したりする場合などにも利用されます。

「覚書」という名称だから契約書よりも法的効力が弱い、というわけではなく、当事者がどのような内容について合意しているかによって、その法的な意味合いが判断されます。

実務上、覚書は次のような場面で利用されることがあります。

  • 契約締結前に、当事者間で確認した事項を記録する
  • 契約書に定めた内容を補足する
  • 契約期間、金額、業務内容など、締結済みの契約の一部を変更する
  • 取引条件や運用上の取り決めについて、当事者間の認識を明確にする

本記事では、このうち締結済みの契約内容を変更するために作成する「変更覚書」を中心に、書き方やフォーマットを解説します。

変更覚書とは?

変更覚書のイメージ

変更覚書とは、すでに締結している契約書の内容を変更、追加または削除するために作成する文書です。たとえば、業務委託契約を締結した後に契約期間を延長したり、業務内容の拡大に伴って報酬額を変更したりする場合に使われます。

原契約を最初から作り直す方法もありますが、変更する箇所が一部に限られている場合は、変更覚書を作成することで、修正点を明確にしながら原契約を維持できます。

変更覚書を作成した方が良い理由

民法上、契約は当事者の合意があれば口頭でも成立するため、変更覚書は作成が義務付けられているわけではありません。

しかし、次のような理由から、変更覚書を作成するのが良いといえます。

合意内容の明確化

変更された合意内容を書面に残すことで、後々の認識のずれやトラブルを防止することができます。

証拠としての役割

万が一、紛争が発生した場合に、変更された合意内容を証明する客観的な証拠となり得ます。

手続きの簡素化

契約書のすべてを作り直す手間を省き、変更点のみを効率的に記録することができます。

変更覚書と契約書・合意書・念書は何が違う?

覚書、契約書、合意書、念書には、法律上、名称だけで一律に区別される明確な基準があるわけではありません。書類のタイトルが「覚書」であっても「契約書」であっても、当事者間の合意内容が明確に記載されていれば、どちらも同様の法的効力を有します。

ただし、実務上は次のように使い分けられることがあります。

文書 主な用途 署名する当事者 実務上の特徴
変更覚書 原契約の変更、追加、補足 原則として双方 原契約とセットで管理する
契約書 取引全体の権利義務を定める 原則として双方 取引開始時に作成することが多い
合意書 当事者間で合意した内容を記録する 原則として双方 覚書と実質的に近い場合がある
念書 一方の当事者が約束や確認事項を示す 主に一方 相手方へ差し入れる形式が多い

変更覚書の基本フォーマット・完成サンプル

変更覚書には法律上決められた一つのフォーマットがあるわけではありませんが、原契約と変更内容の関係を明確にするため、一定の項目を盛り込んで作成するのが一般的です。

この記事からダウンロードできる「契約期間変更の覚書」のひな形では、次のような構成を採用しています。

  • タイトル
  • 前文(当事者・原契約の特定)
  • 定義
  • 本覚書と原契約の優先関係
  • 変更内容
  • 効力発生日
  • 変更しない事項への原契約の適用
  • 誠実協議
  • 締結日・署名欄

契約期間を変更する場合の覚書フォーマット

契約期間変更の覚書

____(以下「甲」という。)と____(以下「乙」という。)とは、甲乙間の__年__月__日付け「__契約」(以下「原契約」という。)につき、次のとおり契約期間変更の覚書(以下「本覚書」という。)を締結する。

(定義)
本覚書で使用する用語の意味は、本覚書に特段の定めがある場合を除き、原契約で使用する用語の意味に従うものとする。

(本覚書の効力)
本覚書の規定と原契約の規定その他甲乙間で合意した契約内容とが矛盾又は抵触するときは、本覚書の規定が優先されるものとする。

(契約期間の変更)
甲及び乙は、契約期間について、以下のとおり変更することに合意する。
契約開始日:__年__月__日
契約終了日:__年__月__日

(効力発生日)
本覚書の効力は、本覚書締結日より発生する。

(原契約の適用)
本覚書において規定された事項以外の事項については、原契約の規定その他甲乙間で合意した契約内容に定めるとおりとする。

(誠実協議)
本覚書の規定の解釈に疑義が生じ、又は本覚書に規定なき事態が生じた場合、甲及び乙は、信義誠実の原則に則って誠実に協議し、互いにその解決に努めるものとする。

以上、本覚書締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名捺印のうえ各1通を保有する。

__年__月__日
甲 ____
乙 ____

上記は契約期間を変更するケースの一例です。金額を変更する場合には「契約期間の変更」の条項を「金額の変更」に置き換え、変更前の金額と変更後の金額を明示するなど、実際の合意内容に合わせて調整します。

また、すべてのケースで上記の条項が必須というわけではありません。原契約や取引内容によって必要な記載は異なるため、テンプレートをそのまま利用するのではなく、実際の契約関係に合わせて確認するようにしましょう。

変更覚書を作成する際のポイント

変更覚書を作成する際の主要なポイントは以下のとおりです。

タイトル

「変更覚書」や「変更契約書」のように、どのような書面であるかを明確に記載します。
「〇〇の変更に関する覚書」や「〇〇に関する変更覚書」といった表現も考えられます。

対象となる契約を特定する

当事者間の、どの契約について、覚書を締結するのかを明確にします。例えば、頭書きにおいて次のように記載して明確にします。

例:株式会社●●(以下「甲」という。)と●●株式会社(以下「乙」という。)とは、甲乙間の●●年●●月●●日付け「●●契約書」(以下「原契約」という。)につき、次のとおり契約変更の覚書(以下「本覚書」という。)を締結する。

変更内容を明確にする

この点が一番重要となります。何をどのように変更するのか、具体的かつ明確に記載しましょう。変更内容はケースバイケースですが、例えば次のようなものが考えられます。

条文をまるっと削除する

例:第●条を削除する。

 

条文を追加する

例:第●条として、新たに以下を追加する。

 

売買金額、納期、有効期間などを変更する

例:第●条に定める「売買金額」を以下のとおり変更する。

 

例:第●条に定める「納期」を以下のとおり変更する。

 

例:第●条に定める「有効期間」を以下のとおり変更する。

 

効力が発生する日を明確にする

変更内容について、いつから変更するのかを明確にします。例えば、次のように記載して明確にします。

例:本覚書の効力は、●●年●●月●●日より発生する。

その他の事項

以上の他、必要な定めを記載します。例えば次のようなものが考えられます。

定義

元の契約書で使用されている用語と、覚書で使用する用語が同じ意味であることを明確にすることがあります。

例:本覚書で使用する用語の意味は、本覚書に特段の定めがある場合を除き、原契約で使用する用語の意味に従うものとする。

変更覚書の効力

変更する書面であるため、元の契約書で定めた事項と、変更契約書(変更覚書)で定める事項に矛盾が生じる場合に、どちらの定めが優先するかを明確にすることがあります。

例:本覚書の規定と原契約の規定が矛盾又は抵触するときは、本覚書の規定が優先されるものとする。

変更覚書に記載のない事項の取扱い

変更覚書に記載されていることは、当事者間の契約内容のほんの一部であるため、記載されていない他の事項について、引き続き元の契約が適用されることを明確にすることがあります。

例:本覚書において規定された事項以外の事項については、原契約に定めるとおりとする。

変更覚書に収入印紙は必要?

紙で変更覚書を作成する場合、内容によっては印紙税の課税対象となり、収入印紙が必要になることがあります。

国税庁は、「覚書」や「念書」などの名称で原契約の内容を変更する文書について、原契約で証されるべき事項のうち「重要な事項」を変更するために作成したものは課税文書となり、重要な事項を含まないものは課税文書に該当しないとしています。

そのため、「覚書」というタイトルだけで収入印紙の要否を判断することはできません。原契約がどの種類の課税文書に該当するか、変更する内容がその文書における重要な事項に当たるかなどを確認する必要があります。契約金額や契約期間などは、契約類型によって重要な事項に該当する場合があります。

印紙税額や課税文書への該当性は具体的な契約内容によって異なります。判断に迷う場合は、国税庁の情報を確認するほか、税務署や税理士などの専門家へ確認するとよいでしょう。

※変更覚書の印紙税については、別記事「変更覚書に印紙は必要?よくある質問にプロが回答」でも詳しく解説しています。

参照: 国税庁「No.7127 契約内容を変更する文書」
関連記事:変更覚書に印紙は必要?よくある質問にプロが回答

変更覚書を電子契約で締結する場合

変更覚書は、紙だけでなく電子契約で締結することも考えられます。電子契約を利用する場合も、原契約の特定、変更内容、効力発生日、原契約との優先関係など、本文で確認した基本的なポイントは同様です。

なお、国税庁は、印紙税の課税対象となるのは課税物件表に掲げられた「文書」であり、電磁的記録は文書に含まれないため、電子メール等で送信する電磁的記録自体には印紙税は課税されないとしています。

ただし、電子契約で締結した原契約について、変更覚書だけを紙で作成する場合などは、紙の変更覚書について別途印紙税の判定が必要になることがあります。

参照:国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」

まとめ

本記事では、変更覚書の基本的な意味や契約書との違い、作成する際のポイントについて解説しました。
覚書は、契約書と同様の法的効力を持つ重要な文書です。書き方に悩んだ際は、本記事で配布しているテンプレートや、社内の過去事例を参考にしつつ、必要に応じて弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

 

この記事の監修者

山本 俊

GVA TECH株式会社 代表取締役
GVA法律事務所 創業者

山本 俊

弁護士登録後、鳥飼総合法律事務所を経て、2012年にスタートアップとグローバル展開を支援するGVA法律事務所を設立。
2017年1月にGVA TECH株式会社を創業。AI法務アシスタント、法務データ基盤、AI契約レビュー、契約管理機能が搭載されている全社を支える法務OS「OLGA」やオンライン商業登記支援サービス「GVA 法人登記」等のリーガルテックサービスの提供を通じ「法とすべての活動の垣根をなくす」という企業理念の実現を目指す。

Xアカウント:@gvashunyamamoto

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